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■引用原文(第11章 第13節)
サンジャヤは語った。
「その時アルジュナは、神の中の神であるお方の身体の中に、
全世界が一堂に集まりながらも、また多様に分かれて存在しているのを見た。」
—『バガヴァッド・ギーター』第11章 第13節
■逐語訳(一文ずつ訳す)
- その時、アルジュナは見た、
- 神々の中の至高なる神(デーヴァーデーヴァ)の身体の中に、
- 全世界が一堂に会しつつ、
- 多様に展開している様子を。
■用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
神の中の神(デーヴァーデーヴァ) | 神々の上位に立つ存在。クリシュナが顕した宇宙の本質を体現する姿。 |
一堂に会す | 全体性・統合の象徴。多様な存在が一つの本体の中に内包されている状態。 |
多様に分かれている | 個別の形・性質・機能がそれぞれ独自に存在しつつも、全体に属していること。 |
見た(アパシャット) | 単なる視覚ではなく、内面的な真理の直観的認識(霊的ヴィジョン)を意味する。 |
■全体の現代語訳(まとめ)
アルジュナは、神(クリシュナ)の宇宙的身体の中に、全世界のすべて――生きとし生けるもの、動かぬ自然、あらゆる存在――が一つに集まり、
しかも、それぞれが個別に分かれ、役割を果たしている様子を目撃した。
それは「統合と多様性」という宇宙の根本構造を直観した体験である。
■解釈と現代的意義
この節は、「多様性の中の統一性」、あるいは**「統一性の中の多様性」**という、東洋的・宇宙的思想の本質を表しています。
すべては一つの源(神)の中にあり、すべての違いもまた、その一部として必然なのです。
現代においては、バラバラに見えるものを統一する視点、また一つに見えるものを細かく見て役割を見出す視点、両方が必要です。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
組織マネジメント | 組織は一つのビジョンを持ちつつも、部署や人材は多様な機能・価値観を持つ。それを統合する視座が必要。 |
プロダクト設計 | 製品・サービスは一つの世界観に基づきつつも、ユーザーごとに異なる体験を提供する柔軟性が重要。 |
リーダーシップ | 全体最適と個別対応のバランスを取り、どちらか一方に偏らない判断ができるリーダーが求められる。 |
チームビルディング | 異なる背景や能力を持ったメンバーを統合し、それぞれの特性を活かして全体の力を引き出すこと。 |
■心得まとめ
「すべては一つ、一つはすべて」
偉大なる存在の中に、全世界の多様性が宿っている。
個々の違いは対立の原因ではなく、全体を構成するために必要なピースである。
ビジネスにおいても、違いを否定するのではなく、「どう統合するか」という視点を持つことが成功の鍵です。
一体感を持ちつつ、多様な力を引き出す組織が、真に強く、持続可能な組織となるのです。
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