MENU

多量販売の悪夢からさめよ

多くの中小企業が、収益性を高めようとして「多量販売」に依存しがちですが、これは必ずしも利益を最大化する道とは言えません。むしろ、大規模市場や低価格商品に飛び込むことは、激しい競争や薄利多売という厳しい状況に追い込まれやすく、事業の存続すら危うくする可能性があります。

以下のように、多量販売を避け、収益性を向上させる戦略を考えることが重要です。

1. 品質を重視し、高価格帯の商品に集中する

  • 大手や競合が多い低価格帯の市場ではなく、高価格帯の市場で確かな占有率を目指すことで、収益性を確保できます。これは、単に「たくさん売る」ことではなく、「良いものを売り、その価値を理解してくれる顧客を増やす」ことに焦点を当てることです。例として、冷凍コロッケのメーカーであるS社が、安売りよりも品質重視に転換したことが黒字転換に寄与しました。

2. 特定のニッチ市場で高い占有率を目指す

  • 中小企業にとっての成功の鍵は、広い市場に少しでも食い込むことではなく、小さな市場で大きな存在感を持つことです。マーケットが小さくても、自社規模に見合った市場で大きなシェアを持てば、収益性も安定します。たとえば、仏壇業でのT社の事例では、大量に売れる標準品ではなく、高級品に注力することを推奨しました。

3. 多品種展開で競争力を維持する

  • 事業を単一商品に依存するのではなく、複数の高収益商品を揃え、特定のニーズや用途に応えることで、長期的な収益を確保する道があります。A社が植木鉢を扱う際にも、大量販売が予測される標準サイズではなく、やや小規模で競争が少ないサイズに注力することで利益率を維持できるようにしました。

4. 高級品のブランドイメージを保つ

  • 高級品に絞ることは、収益性の向上に加え、ブランドの信頼性と差別化にも繋がります。C社の高級ネクタイ事業が好例で、ボリューム商品に手を出すことで高級ブランドのイメージが崩れるリスクがあったため、再考が必要でした。

5. 占有率に目を向ける

  • 売上規模よりも、いかに市場のシェアを占めているか、占有率に注目することが中小企業の成功の鍵です。大規模な市場には大手も参入しているため、競争が激化し、中小企業がシェアを確保することは困難です。小さな市場で確実な占有率を持つほうが、収益性も確保しやすいのです。

結論

中小企業は「多量販売」という夢に捉われず、顧客に高い価値を提供し、利益率の高いニッチ市場で確実な占有率を目指すべきです。規模を追い求めるよりも、自社の特徴を生かし、競争の少ない市場で独自の地位を築くことが、中長期的な事業の安定と成長をもたらします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次