目次
📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章「バラモン」第38偈/38A)
虚空が泥に汚されることが無く、
また月が塵に汚されることが無いように、
諸の悪に汚されることの無い人、かれをわれは〈バラモン〉と呼ぶ。
[三八A]
虚空が泥に汚されることが無く、
また月が塵に汚されることが無いように、
歓楽の生存のなくなった人、かれをわれは〈バラモン〉と呼ぶ。
🔍 逐語訳(意訳)
- 空(虚空)は泥に染まらず、
- 月は塵にまみれない。
- それと同様に、悪にも染まらず、
- また、欲望による歓楽の生存(輪廻)を断った人を、
仏陀は〈バラモン〉と呼ぶ。
🧘♂️ 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
悪(アクサラ) | 殺生・偽り・貪欲・嫉妬など、心と行動を汚す行為や傾向。 |
歓楽の生存(カーマ・バーヴァ) | 五欲や官能的快楽に執着し、それによって再生(輪廻)を繰り返す状態。 |
虚空・月 | 前偈と同様、どんな外界の汚れにも染まらない「清浄性」の象徴。 |
汚されない(アサンキリタ) | 接しても反応せず、染まらない無垢な状態。 |
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
空がどんな泥にも染まらず、
月がどれほどの塵に包まれても曇らぬように、
心がどんな悪に触れても染まらず、
さらに欲望に駆られて再び生まれ変わる「歓楽の生存」すら離れた人――
その人こそ、仏陀が讃える〈バラモン〉である。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、「悪」や「快楽」を避けるのではなく、
触れても染まらぬ心の自由・透明性・超越を説いています。
生存本能や歓楽への欲望は、現代人にも深く根づいていますが、
それに支配されずに、選択と節制をもって生きる力こそが、精神的な高みに通じる道であると示しています。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用・実践例 |
---|---|
悪に染まらぬ信念 | 不正・粉飾・倫理違反に加担せず、自らの規範を貫くリーダー。 |
快楽からの自由 | 地位・報酬・快適さに溺れず、本質的な使命や価値に向き合う姿勢。 |
誘惑と圧力に打ち勝つ力 | 社内政治・外部圧力・短期的誘惑に流されず、正しい判断を保つ。 |
ブレない経営哲学 | 市場や流行に左右されず、自社の理念や行動指針を守り続けることで長期的信頼を築く。 |
💡 感興のことば:心得まとめ
「悪にも欲にも染まらぬ者は、月と空のごとく光り輝く」
泥に触れても、塵に触れても、
その清らかさを失わない人間。
快楽にも、悪意にも流されず、
自由な心で歩む者――
それが仏陀の説く〈バラモン〉なのです。
コメント