■引用原文(日本語訳)
聖バガヴァットは告げた。
「一つの太陽がこの全世界を照らすように、
『土地の主』もすべての『土地』を照らす。アルジュナよ。」
(『バガヴァッド・ギーター』第13章 第33節)
■逐語訳
唯一の太陽が全世界を平等に照らしているように、
「土地の主(クシェートラジュナ=真我)」も、
あらゆる身体(クシェートラ=土地)の中にあって、
それぞれを光で満たし、照らしているのである。
■用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
太陽(スーリヤ) | 普遍的な象徴。すべてを照らし、区別せずに光を与える存在。 |
土地(クシェートラ) | 個々の身体、物質的存在。変化し作用する領域。 |
土地の主(クシェートラジュナ) | 各個人に内在する純粋意識・真我(アートマン)。観照者。 |
照らす(プラカーシャヤティ) | 存在に意識を与え、認識可能にする働き。真我の光によって、経験が可能になる。 |
■全体の現代語訳(まとめ)
太陽が空にただ一つでありながら、
あらゆる場所を平等に照らすように、
「自己=意識(クシェートラジュナ)」もまた、
すべての身体(クシェートラ)に内在し、それぞれに生命と認識を与えている。
この光があるからこそ、私たちは考え、感じ、生きているのである。
■解釈と現代的意義
この節は、「個々の中にある普遍」を明示しています。
すべての人が別々の存在に見えても、
その内奥でそれぞれを照らしている意識(真我)はただ一つ。
この「共通の源への理解」は、自己中心性や他者との分離感から私たちを解放し、
「自他一如(じたいちにょ)」の感覚を育てます。
■ビジネスにおける解釈と適用
視点 | 解釈と応用例 |
---|---|
個性と本質の統一 | 社員一人ひとりは異なるように見えても、共通の価値・目的によって照らされていると理解すれば、連帯が生まれる。 |
リーダーの視点 | 一人ひとりに平等に「光」を当て、育て、照らすことで、全体の活力が増す。 |
人材育成 | 個の違いを超えて、「共通の可能性の光」が全員に内在していると信じることが、育成の基本となる。 |
サービス精神 | すべての顧客の中に「同じ光」があると感じることで、対応に差がなくなり、誠実な接客が可能になる。 |
■心得まとめ
「一つの光がすべてを活かし、照らしている」
『バガヴァッド・ギーター』は、
私たち一人ひとりの中にある「意識」という光が、
全体としては一つの太陽のように、
すべての命を照らしていると教えます。
この視点を持つとき、
他者を排除することも、自己を卑下することもなく、
誰もが尊く、必要な存在であるという信念が生まれます。
ビジネスでも、リーダーシップでも、
「公平に照らす太陽のような心」を持つことこそ、信頼と成果をもたらす鍵なのです。
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