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滅びるものと、滅びぬものを見分けよ

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引用原文(日本語訳)

世界にはこれら二種のプルシャがある。
可滅のものと不滅のものである。
可滅のものは一切の被造物である。
不滅のものは「揺ぎなき者」と言われる。
(『バガヴァッド・ギーター』第15章 第16節)


逐語訳

この世界には、二つの種類のプルシャ(存在)がある。
一つは可滅(ヴィナシャ)であり、もう一つは不滅(アヴィナシャ)である。
可滅のものとは、すべての生成された存在(生まれたもの)である。
不滅のものとは、「変化せず揺るがない存在」と呼ばれる。


用語解説

用語意味
プルシャ「存在者」「霊的自己」などを意味する。ここでは「二種の存在の型」。
可滅のもの(ヴィナシャ)形あるもの、生成されたもの、肉体や物質を含むすべての変化しうる存在。
不滅のもの(アヴィナシャ)永遠不変の霊的本質。魂、アートマン、真我。
一切の被造物生まれては滅びる運命にあるすべての物質的存在(身体・事象・思考など)。
揺ぎなき者(クータスタ)変化せず、常に同じ位置にとどまる永遠の意識。時間や出来事に左右されない本質。

全体現代語訳(まとめ)

世界に存在するものは、大きく二種類に分けられる。
一つは生まれては滅びる「可滅の存在」、
もう一つは決して変わらず、永遠にとどまる「不滅の存在」である。
私たちが目にするすべての被造物は可滅であり、
それとは異なる不変の存在が「揺るがぬ本質」として語られる。

解釈と現代的意義

この節は、「現象(可滅)と本質(不滅)」の明確な区別を説いています。
私たちが日々関わっているものの多く――身体・財産・成功・感情・評価――はすべて可滅の存在であり、
それらに執着する限り、人は揺れ動き、苦しむことになるというメッセージが込められています。

一方で、不変なる「意識の源」「魂の本質」はどんな状況にも影響されず、
それを見極め、そこに軸を置くことが、精神的自由と安定をもたらすのです。

ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
可滅なものへの執着を見直す数字・地位・賞賛など「変わるもの」に依存すると、心も常に不安定になる。
不変の価値観の確立組織や個人にとって、変わらない信念・理念を持ち、それに基づいて判断する姿勢が持続可能性を生む。
成果よりも姿勢に価値を置く結果(可滅)は変わるが、取り組み方・誠実さ・真摯な姿勢(不滅)は評価の本質になる。
変化と本質の見極め経営判断では、変化に対応する柔軟さと、揺らがぬ軸(クータスタ)とのバランスが問われる。

心得まとめ

「変わるものに溺れるな。変わらぬものに立脚せよ」

地位、名声、富、関係――
それらは皆、可滅の存在であり、時と共に変化していく。
だが、その奥には、変わらず存在し続ける「揺るぎない本質」がある。
それを見極め、そこに根ざして動くことが、
真に安定した心と、崩れぬ事業を築く鍵である。

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