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不滅なるものを知れば、害するという錯覚は消える


目次

■原文(日本語訳)

第2章 第21節
クリシュナは言った。
「彼が不滅、常住、不生、不変であると知る人は、誰をして殺させ、誰を殺すか。」


■逐語訳

  • 彼(エシャ):ここでは魂(アートマン)を指す。
  • 不滅(アヴャヤム):壊れることなく永遠に存在すること。
  • 常住(ニティヤム):常に存在し続けるもの。
  • 不生(アジャム):生まれることのない本質。創造されたのではない永遠の存在。
  • 不変(アヴィカリナム):変化しない、揺らがない性質。
  • それを知る人(エヴァム・ヴィッティ):このような魂の本質を深く理解した者。
  • 誰をして殺させ、誰を殺すか(カム・ハンティ・カム・ハタイ):いったい誰が殺すというのか、誰が殺されるというのか——そのような見方は成り立たない。

■用語解説

  • アートマン(魂):永遠・不変・不滅の真の自己。身体や思考と区別される存在。
  • ヴィッティ(知る者):知識や理性を超えて、霊的に真理を悟った存在。
  • ハンティ/ハタイ(殺す/殺される):肉体的な行為としての暴力を意味するが、魂の観点では無意味。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは語る。「魂が不滅で、変化せず、生まれることも死ぬこともない存在であると本当に知っている者が、いったい誰を殺すというのか? また、誰を殺されたと見るのか?」
つまり、魂の本質を知る者は、“加害”も“被害”も、肉体的現象の誤認に過ぎないと悟っている、ということである。


■解釈と現代的意義

この節は、「魂の不滅性を悟れば、行為そのものの意味づけが変わる」という深い洞察を伝えています。
多くの人間の苦しみは、「自分が傷ついた」「誰かを傷つけた」という感情の記憶に由来します。しかし、真に不滅の自己を認識すれば、それらの行為に本質的な“損壊”は存在しないと理解できるのです。

現代においても、感情的な対立や加害・被害の意識から離れ、「本質は何も損なわれていない」と見抜ける視点は、成熟した人格の証といえます。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と応用例
攻撃・防衛の錯覚を超える批判・対立・競争の中で「自分が損なわれた」と感じるとき、本質は何も壊れていないと気づけば冷静さを取り戻せる。
許す力と手放す智慧他者の行為に執着せず、自分の内なる価値が変わらないと理解することで、心を自由に保てる。
過去の失敗の超克かつての失敗や加害感にとらわれず、「魂は損なわれていない」と知ることで、新しい挑戦への道が開かれる。
客観的リーダーシップ感情的な対立に引きずられず、全体の本質を見て行動することが、信頼ある判断を可能にする。

■心得まとめ

「魂を知る者は、争いという幻想に惑わされない」
本質を知る者にとって、誰かが誰かを傷つけたという認識そのものが錯覚である。
魂は滅びず、誰の本質も壊れない。
この認識は、恐れ・怒り・罪悪感からの解放をもたらし、静かな強さを与える


次の第22節では、魂の不滅性を象徴する有名な比喩――「古い衣を脱ぎ、新しい衣をまとうように魂は新しい身体を得る」が登場します。

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