目次
📜 引用原文(『ダンマパダ』第一章 第五偈)
実にこの世においては、怨みに報いるに怨みを以てしたならば、
ついに怨みの息むことがない。
怨みをすててこそ息む。
これは永遠の真理である。
――『ダンマパダ』 第一章 第五偈
🔍 逐語訳
- この世において、もし怨みを怨みで返すならば、
- その怨みの連鎖は、決して終わることがない。
- 怨みを捨てることによってのみ、
- 怨みは止み、心は平和を得る。
- これは、永遠に変わることのない真理である。
📘 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
怨みに報いる | 他人の攻撃や悪意に対し、同じような敵意や報復で応じること。 |
怨みの息む(やむ) | 怒り・恨みの感情が終息し、静まり、心が安らかになること。 |
永遠の真理(サナタン・ダンマ) | 仏教における普遍の法則。時代や状況を問わず常に正しい道理として説かれる。 |
🧾 全体の現代語訳(まとめ)
この世において、他者からの怒りや攻撃に対して、同じ怒りで応じるならば、その怨みは連鎖し続け、終わることはない。
しかし、自らがその怨みを手放し、報復をしないことを選ぶならば、その時に初めてその連鎖は断ち切られ、平和がもたらされる。
この因果律は、古今東西を問わず通じる「永遠の真理」である。
🧠 解釈と現代的意義
この偈は、怒りや報復心に身を任せるのではなく、自らの心の中でその怒りを終わらせることの重要性を説いています。
「やられたらやり返す」という思考が世の中の常識であっても、仏教はそれを否定します。怒りへの反応が怒りである限り、争いは永遠に続く。
怒りを“受け流す力”こそが、真の強さであり、平和を生む智慧であると教えています。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
組織内の対立解消 | 攻撃的な態度に対して感情的に応じると、職場の人間関係は悪化する。冷静に受け止めることで解決の糸口が見える。 |
リーダーの在り方 | 部下や他者のミスや非難に対して、報復せず、建設的な反応で信頼関係を維持するリーダーこそ尊敬される。 |
ネガティブ対応力 | クレームや悪評に対して、同じ土俵で返すとさらに炎上する。丁寧で誠実な対応が信頼回復を導く。 |
自己マネジメント | 怒りに怒りで反応すると、自己制御力が失われる。長期的視点に立ち、怒りを内で終わらせる冷静さが重要。 |
🪷 心得まとめ
「怒りを断ち切る者が、争いを終わらせる者である」
報復は争いを延ばすだけ。手放すことでしか、怒りは終わらない。
真の勝者とは、怒りに勝つ者ではなく、怒りを越える者である。
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