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📜 引用原文(日本語訳)
生きものを殺し、虚言を語り、世間において与えられていないものを取り、他人の妻を犯し、穀酒・果実酒に耽する人は、この世において自分の根本を掘りくずす人である。
——『ダンマパダ』第18章「汚れ」第246・247偈
📘 逐語訳
- 生きものを殺し:殺生。仏教の五戒の第一にあたる。
- 虚言を語り:嘘をつくこと。第二の戒。
- 与えられていないものを取り:盗み、つまり不正取得。第三の戒。
- 他人の妻を犯し:不倫・姦淫。第四の戒。
- 穀酒・果実酒に耽する:アルコールや酩酊による節度の喪失。第五の戒。
- 自分の根本を掘りくずす人:自己の人格・運命・徳分を自ら崩壊させる者。
🧾 用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
五戒 | 仏教徒が守るべき基本的な五つの道徳戒律:①不殺生、②不妄語、③不偸盗、④不邪淫、⑤不飲酒。 |
穀酒・果実酒 | 穀物や果実を発酵させた酒。広義にアルコール全般を含む。 |
根本を掘り崩す | 人間としての基盤(信用・徳・運命)を自ら破壊すること。 |
耽する | 深く溺れること。習慣的・中毒的な行為を含意。 |
🌏 全体の現代語訳(まとめ)
生き物を殺し、嘘をつき、盗みを働き、他人の伴侶に手を出し、酒に溺れる――
こうした行いをする者は、まるで自分の根をシャベルで掘り返すように、自らの人生・人格・未来を破壊している。
これらは、外からの攻撃ではなく、内から崩れていく“自己崩壊の行為”である。
💡 解釈と現代的意義
この二つの偈は、仏教の五戒の実践的重要性を明確に説いています。
戒律とは「禁止」ではなく、「自己を守るための智慧」です。
ここに示された五つの行為は、一見して外的な悪行に見えますが、実際には自己破壊の種です。
それぞれが人間関係の信頼を失わせ、心を曇らせ、自分を見失わせていく。
戒めを守ることは、外から縛られることではなく、自らの人生の根を守ることなのです。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
行為 | ビジネスにおける対応例 | 崩壊する「根」 |
---|---|---|
殺生(暴力的・支配的な態度) | 威圧的マネジメント、部下の人格否定 | チームの信頼と心理的安全性 |
虚言 | 虚偽報告、粉飾、誤魔化し | 信用・評価・法的安全性 |
盗み | 情報窃盗、不正利用、リソースの私的流用 | 社内倫理・法令遵守 |
不倫(不貞) | 職場不倫、利益相反の関係 | 評判・リーダーシップの正当性 |
酒に耽る | アルコール依存、判断能力の低下 | 健康・判断力・対人信頼 |
🧭 心得まとめ
「それは自由ではなく、自壊の始まりである」
五つの禁戒は、人生の「根」を守るための支柱である。
それを破るたびに、あなたの人格と未来は静かに崩れ始める。
だからこそ、自らを律する者が、真に自由で、強い。
この二連偈は、「自由と放縦の違い」を明確に示し、真の意味での倫理的強さの本質を教えています。
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