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選ぶものに、その人の本質があらわれる

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■引用原文(日本語訳)

「また、すべての者が好む食物も三種である。祭祀、苦行、布施も同様である。それらの区別を聞け。」
――『バガヴァッド・ギーター』第17章 第7節

■逐語訳

また、人々が好む食物は三種類ある。
同じく、祭祀・苦行・布施にもそれぞれ三種の性質がある。
今、それらの違いを説明しよう。

■用語解説

  • 三種の性質(グナ):純質(サットヴァ)、激質(ラジャス)、暗質(タマス)という、自然界と人間に存在する三つの性質。
  • 食物(アーハーラ):単なる飲食物だけでなく、身体・心・感覚が取り入れる“刺激”のすべてを含む。
  • 祭祀(ヤッニャ):神聖な儀式、祈り、自己捧げ。
  • 苦行(タパス):精神や身体を鍛錬する行い。
  • 布施(ダーナ):物質的・精神的な施し。利他の行為。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは、人々の行為や好みが三つの性質(純質・激質・暗質)によって分けられることを説く。
食事から儀式・修行・施しに至るまで、どんな動機・態度でそれを行っているかによって、それは高貴にもなり、低俗にもなる。

表面ではなく“内的な質”にこそ本質がある、という前置きの教えである。

■解釈と現代的意義

この節は、行動の形ではなく、質と動機を見なければならないという重要な視点を提示しています。
「健康に良さそうな食事」「努力」「寄付」など、どれも表面的には肯定されやすい行為ですが、それを行う人の「心の質」によって、真に純粋なものにも、自己中心的なものにもなるのです。
つまり、「何をしているか」よりも、「どのような気持ちでしているか」「どのようなものを選ぶか」に、その人の精神の段階が現れるのです。

■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
食・選好の観察日々の選択(食事・読書・娯楽・会話内容)を見直すことで、自分の内面の傾向を把握し、成長のヒントにできる。
働き方の「苦行」分析労働や挑戦も、純粋な動機(成長・使命)から来るものは人を高めるが、怒り・虚栄・惰性に基づくものは害となる。
会社の社会貢献(布施)CSRや寄付活動も、「評判のため」「義務感から」「税対策で」行えば暗質的。「誰かを真に助けたい」という純粋な動機が必要。
行動の“質”を問う評価制度成果だけでなく、「どう行ったか」「何を信じてやったか」という“行動の質”を評価する制度設計が、組織文化を純質化する。

■心得まとめ

「行為の価値は、かたちではなく質によって決まる」
食べ物でさえ、選び方にその人の精神性が映し出される。
祭祀・苦行・布施も、外面的には同じように見えても、心の質によってそれは徳にも毒にもなる
ビジネスにおいても、行動の成果だけではなく、動機と姿勢(=質)にこそ、人格と信頼の源泉がある
「質にこだわれ」とは、ギーターの深い叡智である。

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