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■引用原文(第11章 第17節)
アルジュナは言った:
「王冠をつけ、棍棒を持ち、円盤を持ち、一切の方角に輝きわたる光輝の塊であるあなたを見る。
遍く燃火や太陽のように輝き、凝視し難い、計り知れぬあなたを見る。」
—『バガヴァッド・ギーター』第11章 第17節
■逐語訳(一文ずつ訳す)
- 「あなたは王冠を戴き、棍棒を持ち、円盤を携えています。
- あなたはあらゆる方向に向かって光り輝いています。
- あなたは燃えさかる火や輝く太陽のように、眩しく光り、
- 直視することが困難で、計り知れない存在です。」
■用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
王冠 | 主権・支配者としての象徴。神が宇宙の王であることを表す。 |
棍棒(ガダー) | 力・制裁・守護の象徴。秩序を守る力としての神の側面。 |
円盤(チャクラ) | 時空を越えた神の武器。悪を滅する真理の象徴。 |
光輝の塊 | 限界を超えたエネルギーの存在。神的な力と智慧の化身。 |
火と太陽 | 清浄・威厳・破壊・創造の象徴。神の不可視で強烈な性質を表す。 |
■全体の現代語訳(まとめ)
アルジュナは、宇宙的な神の姿を目の当たりにして、王冠と武器を持つ荘厳な姿が、あらゆる方向にまばゆく輝く「光そのもの」であることに驚愕する。
それは太陽や炎のように強く輝き、あまりに神々しくて直視することさえできない。
この描写は、神の持つ絶対的な力と、見る者に畏れを抱かせるその威厳を象徴している。
■解釈と現代的意義
この節は、真のリーダーシップや偉大さとは、外見の華やかさではなく、内に秘めた強さと威厳にあると教えています。
見る者が息を呑み、自然と敬意を抱くような存在感――それは、正義を行い、使命を果たす者が放つ光であり、
時に畏れをもたらす力強さを伴って初めて「尊敬」に変わるのです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
リーダーの威厳 | 真のリーダーは、柔和さだけでなく、毅然とした態度や判断力を併せ持つ。周囲に信頼と敬意をもたらす。 |
プレゼンス(存在感) | 実力と経験に裏打ちされた態度・言動は、視線を集める力を持つ。それは外見の飾りではなく「内なる光」。 |
組織の象徴性 | トップが象徴としての姿勢(象徴的道具=チャクラや棍棒)を持つことが、組織の方向性と秩序を明示する。 |
情報や力の取り扱い | 力を持つ者は、その「光」の影響を自覚すべきであり、他者を傷つけず、導くために使う覚悟と制御が必要。 |
■心得まとめ
「力ある者は光を放つ。ただしその光は、畏れと共に輝く」
真の力と威厳は、静かに、しかし圧倒的に人の心を打つ。
それは単なる装飾やポーズではなく、使命に生き、覚悟を抱いた者に自然と備わるものである。
ビジネスでも、役職や権限に依存するのではなく、自身の内から発する光――
それを磨くことが、真のリーダーへの道である。
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