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敵は外にはいない、自分の内にいる

怒りが込みあげたとき、心は激しく揺れ動く。
思わず声を荒げ、誰かを責め、時には自分さえも傷つけてしまう。
だがその怒りの根には、満たされなかった「欲望」がある。

「もっと大切にされたい」
「わかってもらいたい」
「認めてもらいたい」

こうしたカーマ(欲望)があるからこそ、
それが叶わないときに怒り(クローダ)としてあふれ出す。

『バガヴァッド・ギーター』をはじめとするインド哲学では、
この「欲望(カーマ)」を頂点とする6つの心の敵があると説かれる。

目次

人を内側から蝕む6つの敵(シャッド・リプ)

  1. カーマ(欲)
     もっと欲しい、もっと得たいと求める心。
     満たされることがなく、終わりなき追求を生む。
  2. クローダ(怒)
     欲が妨げられたときに噴き出す反応。
     冷静な判断を奪い、破壊へと向かわせる。
  3. ローバ(貪)
     手に入れてもまだ足りないとし、さらに欲しがる心。
     満足を知らず、安心を知らない。
  4. モーハ(迷い・執着)
     一時的な快楽や感情にとらわれ、本質を見失うこと。
     何が大切か、見極めがつかなくなる。
  5. マダ(慢)
     自分は優れていると奢り、他を見下す心。
     真の学びを遠ざけ、孤立を深める。
  6. マーツァリヤ(嫉妬)
     他者の成功や幸福を妬む心。
     祝福を分かち合えず、自らを貧しくする。

これらはすべて、外からもたらされたものではない。
「自分の内にある心のはたらき」である。
だからこそ、真の敵は他者ではなく、自らの内側にこそ存在している

それらを退ける唯一の方法は、欲望を見つめ、コントロールすること
欲があることが問題なのではない。
欲に支配されて生きることが、苦しみを育ててしまうのだ。

怒りを鎮めようとして怒りを押し込めても意味はない。
その根にある欲望に気づき、
「本当にそれが必要なのか?」と問い直すことから始める。

敵を知り、敵と距離を取り、敵を超えること。
それが、内なる平和を築く第一歩である。

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