目次
📜 引用原文(日本語訳)
一八*
たとい天上の快楽にもこころが喜ばない。
正しく覚った人(=仏)の弟子は、
つねに妄執の消滅を喜ぶ。
📖 逐語訳(意訳含む)
- たとえ天界のような極上の快楽が得られたとしても、
- 真理に目覚めた人(仏陀)の弟子は、それに心を奪われない。
- 彼らが本当に喜びとするのは、妄執――つまり執着や錯覚が消え去ること、
- その内面の自由と静寂なのである。
🧩 用語解説
- 天上の快楽:仏教においては、神々の世界(天界)における非常に強く洗練された快楽。人間の快楽よりも上位にあるが、それでも輪廻の一部であり、無常である。
- 正しく覚った人(仏):真理(四諦・無常・無我など)を悟った存在。ここではその弟子を指す。
- 妄執(もうしゅう):誤った考えや執着。実体のないものを「ある」と思い込み、囚われること。
- 消滅を喜ぶ:快楽や物質ではなく、心が自由になること、煩悩が滅することをこそ、真の喜びとする境地。
🪞 全体の現代語訳(まとめ)
たとえ神の世界のような極上の快楽が目の前に差し出されても、真理を悟った人の弟子はそれに魅了されることはない。彼らが真に喜びとするのは、心の中の執着・迷いが消え去り、自由になること。快楽ではなく「心の解放」こそが、真の幸福であると知っているからである。
🧠 解釈と現代的意義
この章句は、「どれほど上質な快楽を得ても、それは真の喜びではない」と説いています。現代では、より高級な物・洗練された経験・極限の快楽を追い求める風潮がありますが、それはあくまで一時的な刺激に過ぎません。本当に価値あることは「心がとらわれから解放されること」。つまり、「何もなくても幸せでいられる状態」こそが、究極の豊かさであるという智慧がここにあります。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用例 |
---|---|
ワークライフバランス | 「理想の待遇」や「地位・報酬」だけで満足しようとすると、執着が深まり不安定になる。自由であることの価値を見直す。 |
サステナブルな成長 | 快楽の最大化ではなく、「執着の最小化」が安定した意思決定と持続的成長を生む。 |
組織文化の形成 | 目標達成や成功体験だけを喜ぶのではなく、「こだわりや対立の執着を手放すこと」を評価する文化が組織の成熟につながる。 |
リーダーシップの視座 | 権限や称賛に喜びを見出すのではなく、「私心のなさ」「公平無私」でいることに価値を置くリーダー像。 |
🧭 心得まとめ(座右の銘風)
「執着の消えるところに、真の喜びは芽生える。」
どれほどの快楽でも、心を自由にはしない。
だが、ひとつの妄執が消えたとき――
そこには何より深く、穏やかな喜びが満ちている。
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