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惰性に流される者は、迷いの輪廻から逃れられない


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■引用原文(日本語訳)

第二三章 象(三二五)
大食いをして、眠りをこのみ、ころげまわって寝て、まどろんでいる愚鈍な人は、
大きな豚のように糧を食べて肥り、くりかえし母胎に入って(迷いの生存をつづける)。


■逐語訳

  • 大食いをして:必要以上に食べる。貪欲の表れ。
  • 眠りをこのみ:怠惰を好む。活動や努力を避ける。
  • ころげまわって寝て、まどろんでいる:だらしなく過ごし、意識も鈍く沈んだ状態。
  • 愚鈍な人:智慧のない者。自己を省みず、修行しない人。
  • 大きな豚のように:欲にまみれて生きる様を、下等で貪欲な動物に例えて。
  • 糧を食べて肥り:本能のままに快楽をむさぼる生活。
  • くりかえし母胎に入って:死んでは生まれ変わる輪廻(サンサーラ)を続けること。

■用語解説

用語解説
愚鈍(ぼんくら)な人仏教において「無明(無知)」の支配下にある存在。
大きな豚無節制・鈍感・貪欲の象徴。仏教では不浄のたとえにも用いられる。
母胎に入る再び人間や動物として生を受けること=輪廻転生。
輪廻(サンサーラ)無明と欲望によって続く、苦の連鎖の世界。

■全体の現代語訳(まとめ)

食べすぎ、眠りすぎ、怠惰に流されて愚かに生きる者は、大きな豚のように快楽だけを求めて太る。
そして、そのような生き方をする者は、死後も迷いの世界をさまよい、再び母胎に生まれて輪廻の苦しみを繰り返すのである。


■解釈と現代的意義

この章句は、貪りと怠惰の生活が精神的な退廃を招き、魂の成長を妨げることを明確に戒めています。
仏教においては、「怠惰(アルラッジヤ)」は修行の障害であり、智慧を得る道を塞ぐ最大の障壁とされます。

現代においても、「ラクをしたい」「休んでばかりいたい」「好きなものだけを食べたい」といった衝動に流されてばかりいると、人は自制心を失い、惰性の人生に埋没します。
この章句は、そんな惰性と闘い、目覚めた意識を持って生きることの重要性を教えています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
怠惰と生産性「やる気が出ない」「面倒くさい」といった怠惰な心が続けば、業務の質・信頼・成長すべてが失われる。
自己管理能力睡眠・食事・生活リズムを整えることは、安定したパフォーマンスの前提条件。
習慣の怖さ一度ラクを覚えた生活を続けると、それが習慣化し、向上心や成長の機会を奪っていく。
人間性の退化楽なことだけを求める生き方は、やがて人間としての品格や信頼をも損ねる。

■心得まとめ

「怠惰を断ち、意識を覚ませ」

快楽を追い、怠け、だらしなく生きれば、心は濁り、魂は成長しない。
その結果、人生を浪費し、苦しみの輪廻を繰り返すことになる。
ビジネスでも同様に、「ラクな道」ばかりを選ぶ人は成長せず、やがてチャンスを失っていく。
意識を覚まし、自らを律して日々を丁寧に生きること――それが真の自由と解放への第一歩である。


この節は、物質的な快適さと精神的な目覚めとの対比が鋭く描かれており、現代社会に対する深い警鐘ともいえます。

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