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最後に残る智慧、それは執着を捨てる勇気

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■引用原文(日本語訳)

「実に、知識は常修より優れ、瞑想(禅定)は知識より優れ、行為の結果の捨離は瞑想より優れている。捨離により直ちに寂静がある。」
(『バガヴァッド・ギーター』第12章 第12節)

■逐語訳

確かに、
知識(ジュニャーナ)は常修(アビヤーサ)よりも優れ、
瞑想(ディヤーナ)は知識よりも優れており、
行為の結果を捨てること(カルマ・パラ・ティヤーガ)は、瞑想よりさらに優れている。
なぜなら、捨離(ティヤーガ)によって直ちに内なる平安(シャーンティ)が得られるからである。

■用語解説

  • 知識(ジュニャーナ):神・真理・自己に関する理解。哲学的・内省的認識。
  • 常修(アビヤーサ):実践的訓練。瞑想や祈りなどを繰り返す行。
  • 瞑想(ディヤーナ/禅定):対象に深く没入し、心を統一する状態。
  • 行為の結果の捨離(カルマ・パラ・ティヤーガ):行為はしつつ、その成果・報酬・評価への執着を手放すこと。
  • 寂静(シャーンティ):外的・内的に揺るがぬ平安、心の静けさと自由。真の解放状態。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは、修行の道に段階的な優劣があると語る。
「修練よりも知識が優れ、知識よりも瞑想が優れ、瞑想よりも“行為の結果への執着を捨てること”のほうが最も優れている」――なぜなら、結果を手放すことによって、すぐに心の平安がもたらされるからである。

■解釈と現代的意義

この節は、修行の道を「階層的に整理」した上で、最も実践的かつ誰でもできる最高の方法――行為の結果を捨てること(結果に執着しないこと)――の価値を強調しています。

心が揺れるのは、いつも「こうなってほしい」「こうあるべきだ」という執着からです。
『ギーター』は、努力はしても、結果に心を預けないことこそが、最も自由で平安な境地への道だと説いています。

■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
成果にとらわれない働き方プロジェクトの成否、数字、評価に一喜一憂せず、ただやるべきことに誠実であることが、心の安定をもたらす。
リーダーのマインドセット意図は明確に、行動は大胆に、結果には執着しない。判断と実行における迷いを取り払う。
セルフケアとマネジメント「結果が出なければ意味がない」という考えを捨て、行為そのものの価値を認めることで、燃え尽き症候群を防ぐ。

■心得まとめ

「結果にとらわれぬ者に、平安は訪れる」
努力をする、知識を得る、瞑想を深める――どれも尊い道である。
だが、最も速く、確実に心の平穏を得る道は、「結果に執着しない」こと。
やるべきことをやり、あとは天に任せる。
それが、ギーターが導く“智慧と安らぎの頂点”である。

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