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その正体と目的を知る勇気――畏れの中から真理を問う


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■原文(第11章 第31節)

私に告げて下さい。恐ろしい姿をしたあなたは誰なのか。
あなたに敬礼します。最高の神よ。お願いです。
本初なるあなたを知りたいと思います。私はあなたの活動〔の目的〕を理解していないので。


■逐語訳(一文ずつ訳す)

  • 私にお教えください、この恐ろしい形のあなたは一体誰なのかを。
    (ākhyāhi me ko bhavān ugrarūpo)
  • 敬礼いたします。神々のうちの最高者よ、あなたに。
    (namostu te deva varapramukhyā)
  • 私はあなたの最初の在り方(本質)を知りたいのです。
    (pratītya jānāmi bhavantam ādyaṁ)
  • あなたのなされている行いの目的が、私には分からないのです。
    (na hi prajānāmi tava pravṛttim)

■用語解説

用語解説
恐ろしい姿(ugra-rūpa)恐怖を呼び起こす神の破壊相。「カーラ(時間)」「死」の象徴でもある。
本初なる(ādya)あらゆるものの最初・根源・起源。創造の源たる絶対者。
活動(pravṛtti)行動、発動、宇宙的運動。ここでは神の行為(宇宙の消滅や裁き)を指す。

■全体の現代語訳(まとめ)

どうか教えてください。
この恐ろしくも荘厳な姿のあなたは、いったい何者なのですか。
私はあなたに深く頭を下げ、敬礼を捧げます。
願わくば、すべての始まりであるあなたの本質を知りたい。
なぜなら、私はあなたがこのような行動をとる目的を理解できないのですから。


■解釈と現代的意義

この節は、アルジュナが圧倒的な神の破壊的ビジョンに対して、
ただ畏れおののくのではなく、理性を持って正体と目的を問う姿を描いています。

圧倒的な恐怖や不条理の中にあっても、
「これは何か?なぜか?」と問い続ける意志――
それが「無知からの脱出」の第一歩であることが示唆されています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
不可解な環境変化理由不明の市場変化・急激な組織改編などに対し、「これは何の兆しか?」と洞察する姿勢。
権威や巨大組織への問い強者や上位者の決定に対して、恐れながらもその意図と背景を見極めようとする知的誠実さ。
理解なき従属の回避「なぜこうなったのか」「どうして今これが行われているのか」を常に追求する文化づくり。

■心得まとめ

「恐れの中にこそ、問いの炎を絶やすな」

混乱、恐怖、不確実性の中で、
多くの人は黙って従い、ただ怯え、流される。

だが、真に賢き者は、
その中にこそ理性の光をともし、問い続ける。

「あなたは誰か?なぜこれが起こるのか?」

この問いこそが、盲目的な従属から脱し、
真理を手繰り寄せる最初の一歩である。

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