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迷いの生存を越えて、喜びもまた離れる


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📜 原文(第二九章 二二)

「われは、迷いの生存のうちに恐ろしさを見、また迷いの生存のうちにさらに破滅を見て、それ故にわたしは迷いの生存を喜ばない。
わたしは生存の滅亡を(執著して)喜ぶこともない。」


🔍 逐語解釈と要点

  • 迷いの生存(サンサーラ):輪廻転生のこと。生・老・病・死の繰り返しに支配された存在。
  • 恐ろしさ・破滅:生きることには、苦しみ・老衰・失望・死といった恐怖と喪失が常に付きまとう。
  • 生存を喜ばない:執着・快楽・生きること自体に意味を見出すわけではない、という出離の智慧。
  • 生存の滅亡を喜ぶこともない:死や解脱そのものにも執着しない。涅槃すらも“とらわれ”として否定する高度な精神状態。
  • 喜ばない(ナーラバハミ):嫌うでも求めるでもなく、「ただ超えている」状態。

🧠 解釈と現代的意義

この節は、「生をも死をも超越する視座」を語っています。
多くの人は、生を喜び、死を恐れ、あるいは逆に死を求めて生を否定することもあります。
しかし、この章句が示すのは、生も死も同じく“迷い(サンサーラ)”の表裏であり、
そこに執着すること自体が苦を生むという洞察です。

すなわち――

  • 生きることに意味を見出して過剰に執着しても苦しむ。
  • 逆に、生きることを厭い、死を求めることもまた執着である。
  • 本当に自由な境地とは、生も死も超えて、ただ在ることに留まる状態なのです。

💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
目標と執着結果に固執すると精神が不安定になる。「勝っても負けても揺るがぬ姿勢」が真のプロフェッショナリズム。
成果主義の超越数値や評価のために生きるのではなく、「誠実に取り組む」ことそのものに価値を見出すことで、安定した働き方ができる。
失敗や退職に対する姿勢一つのプロジェクトや職を“すべて”とせず、終わりに執着しない姿勢が、健全なキャリア形成につながる。
リーダーの精神軸褒められても叩かれても、浮かれず、沈まず、ただ「あるべきことを為す」人が、信頼される本物のリーダー。

✅ 心得まとめ

「生を求めず、死にもとらわれず。ただ超えて、静かに在る」

生きることに執着すれば、不安と恐れがつきまとう。
死に逃れようとすれば、逃避と否定の苦がつきまとう。
それゆえ、“生死そのものに執着しない”という境地こそ、真の自由であり、心の平安なのです。

それは決して無感情でも無関心でもなく、
生の現実と苦しみを深く理解した上で、それに引きずられない智慧
まさにそれが、「感興のことば」の到達点――**“とらわれなき境地”**です。


第二九章の最終節として、この章は全体の哲学的総括のような役割を果たしています。

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