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生じざるものを観るとき、縛りから離れる


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📖引用原文(日本語訳)

二一*
不生なるものが有るからこそ、
生じたものの出離をつねに語るべきであろう。
作られざるもの(=無為)を観じるならば、
作られたもの(=有為)から解脱する。


🔍逐語解釈と用語の意味

表現解釈
不生なるもの(アジャータ)生まれることがなく、変化もしない。**ニルヴァーナ(涅槃)**の別名。
生じたもの(ジャータ)時間・因縁によって生じた現象すべて。五蘊・感情・物質・思想など。
作られざるもの(無為/アサンカータ)条件によって生起しない、永遠・不滅・変化なき安らぎ=ニルヴァーナ
作られたもの(有為/サンカータ)因と縁によって一時的に成立した存在。すべての現象・意識・世界。

この句は、仏陀の以下の有名な言葉に通じます:

「もし作られざるもの(無為)がなければ、作られたもの(有為)からの出離はあり得ない。」


🧘‍♂️全体の現代語訳(まとめ)

生まれることも、変化することもない
“不生なるもの(ニルヴァーナ)”が確かにあるからこそ、
私たちは、生まれ・老い・死にゆく「生じたもの」から離れる道を語ることができる。
もしその「作られざるもの」を見出すことができたならば、
この「変わりゆくすべて(作られたもの)」から、
**真に自由になれる(解脱)**と説かれている。


💡解釈と現代的意義

この教えは、仏教における**“救いの存在根拠”**を明確にするものです。

現象世界(有為)はすべて無常・不安・無我です。
だからこそ人は苦しむ。
しかし、仏教はその一方で「無為なる真理=ニルヴァーナ」があると示します。

  • それは、生まれず、変わらず、滅びないもの
  • それは、観念ではなく、体験的に「観じる」ことで到達されるもの
  • それを信じ・向かうからこそ、現象の世界にしがみつくことから離れられる

この“もうひとつの視座”こそが、私たちを解脱へと導く力なのです。


💼ビジネスにおける適用

観点適用内容
現象へのとらわれを手放す視点成果・数字・ポジションなどはすべて“作られたもの”であり、変わりうる。そこにしがみつかないことで、冷静な判断ができる。
普遍的価値の重視組織やビジネスでも、「一時的な利益」ではなく「変わらない理念・信頼・原理」に重きを置くことが、長期的安定をもたらす。
視座の転換力有為(成果・結果)だけを追うのではなく、「そもそも何のために行っているのか」という“無為の意義”を観る力が、ぶれない行動軸となる。
精神的レジリエンス外部変化(環境・他人の評価)に左右されない軸を持つことで、メンタルが揺れなくなる。「依るべき静けさ」がある人は強い。

✅心得まとめ

「滅びぬものを観じたとき、滅びゆくものから自由になる」
変わりゆくものにしがみつくかぎり、心は揺れ続ける。
だが、その奥にある「不生不滅の静けさ」を知ったなら、
もう、何ものにも揺さぶられなくなる。

無為なるものが確かに“ある”からこそ、今ここを離れて生きられる――
それが、仏陀が私たちに示した「究極の出口」です。

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