目次
📜 引用原文(『ダンマパダ』第一章 第八偈)
この世のものを不浄であると思いなして暮し、
(眼などの)感官をよく抑制し、
食事の節度を知り、信念あり、勤めはげむ者は、
悪魔にうちひしがれない。
岩山が風にゆるがないように。
――『ダンマパダ』 第一章 第八偈
🔍 逐語訳
- この世の現象を「不浄(儚く、執着すべきでないもの)」と見なし、
- 五感(見る・聞く・触れる等)をよく制御し、
- 食事においても節度を保ち、
- 揺るぎない信念を持ち、日々精進する者は、
- 悪魔(煩悩・誘惑・苦悩)に敗れることがない。
- それは、風に微動だにしない岩山のようである。
📘 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
不浄であると思いなす | 世の中の現象や物質的快楽はすべて無常であり、執着すべきものではないと見抜く智慧。 |
感官をよく抑制する | 五感による欲望を制御し、外界の刺激に流されない精神的統御の実践。 |
食事の節度を知る | 過食・暴飲暴食を避け、心身の調和のために適切に食をとること。修行の基本態度。 |
信念あり | 仏教における「信(しん)」――仏・法・僧や真理に対する信頼と確信。精神の支柱。 |
勤めはげむ | 努力・精進を怠らず、日々の修行・務め・生活を誠実に果たす姿勢。 |
岩山が風にゆるがない | 困難や誘惑にあっても動じない強い精神の比喩。安定と揺るぎなさの象徴。 |
🧾 全体の現代語訳(まとめ)
この偈は、心の鍛錬と正しい認識がもたらす「不動の強さ」を説いています。
物質的なもの・快楽に過剰な期待を抱かず、それらの本質(不浄性)を見極めることで、執着を断つことができる。さらに、五感を律し、食を節制し、信念を持って努力し続ける者は、どんな誘惑や困難にも屈しない。彼の心は、どんな風にも揺るがない「岩山」のように安定している。
🧠 解釈と現代的意義
現代社会は誘惑と情報に満ちており、心が外界の刺激に振り回されがちです。
この偈は、**「節度・制御・信念・努力」**という内なる軸を持つことが、精神的な不動性を生むと説いています。
どんなに外の状況が不安定でも、それに揺るがされない生き方は可能であり、それこそが「自由な心」のあり方です。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
判断の安定性 | 世間の流行や他人の評価に揺さぶられず、芯のある価値観とビジョンに基づいて判断できる。 |
ストレス耐性 | 日々の節制と精神統一が、プレッシャーの中でも安定したパフォーマンスを支える。 |
リーダーシップ | 誘惑や利得ではなく、信念と原則に基づいて行動するリーダーは、周囲からの尊敬と信頼を集める。 |
働き方の美学 | 仕事の成果に溺れず、日々の努力と誠実さを大切にする人こそが、長く信頼される。 |
🪷 心得まとめ
「外の風に揺れるのではなく、内の岩となれ」
欲望や誘惑の風に流されず、自己を律し、信じる道を歩む者だけが、本当の平穏と強さを得られる。
岩のように静かで、岩のように確かな心――それが人を悪魔から守るのである。
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