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最も優れた調教は、己を馴らすことにある


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📖 引用原文(日本語訳)


この世で騾馬を馴らしたら良い。
インダス河のほとりの血統よき馬を馴らすのも良い。
クンジャラという名の大きな象を馴らすのも良い。
しかし自己をととのえた人は、それらよりもすぐれている。
——『ダンマパダ』第十九章 第七偈


📘 逐語訳(文ごと)

  1. 騾馬を調教するのは価値あることだ。
     → 騾馬=頑固で扱いにくい存在を制御することは、力と技術の証である。
  2. インダス河流域の血統の良い馬を調教するのも価値がある。
     → 優れた資質を持つ存在を訓練し活かすことにも意味がある。
  3. クンジャラ(王象)を調教するのも素晴らしい業である。
     → 巨大で威厳ある存在を制することも、称賛に値する。
  4. だが、それらすべてよりも、「己をととのえた人」は優れている。
     → 外の制御よりも、自分自身の調御こそが最上である。

🧩 用語解説

用語解説
騾馬(ラバ)頑固で制御しづらい存在の象徴。
インダス河の名馬高貴な血統の優れた馬。調教価値の象徴。
クンジャラ高位の象、特に「王の象」の名。権威と力の象徴。
自己をととのえる感情・欲望・言動・心を制し、バランスを保つこと。

💬 全体の現代語訳(まとめ)

優れた馬や巨大な象を調教することは立派な技であるが、
それら外的なものを制御することよりも、自分自身の心・行動・欲望を整えることこそ、最も優れた修行である。
内なる制御力は、あらゆる力を超えるという仏教の核心が語られている。


🧠 解釈と現代的意義

この偈は、古代インドにおける「馬術・象の調教」という軍事的・王権的権威を象徴としつつ、
そのどれよりも「自己制御(セルフマネジメント)」の方が崇高であると断言しています。

現代においても、他者を動かす力(管理能力や影響力)よりも、まず自分を整え、律する力の方が価値があるという考えは、リーダーシップや人格形成において極めて重要です。


🏢 ビジネスにおける適用

観点適用例
マネジメント vs セルフマネジメントチームを動かす前に、自分自身の時間・感情・姿勢を整えることが成果の基盤になる。
肩書きや役職より人間性高い地位や実力があっても、自分を制御できない人は信頼されない。
自分を調える力判断力・行動力・持続力すべての源泉は「自分の心を整える力」にある。
真のリーダーの条件他者を導く力よりもまず、「自らの内面を制御しているかどうか」が、長期的信頼に直結する。

🧭 心得まとめ

「象を制するより、自らを制することが偉大である」

外に向けた力(影響・支配)よりも、
内に向けた力(静けさ・統一・制御)の方が深く、強く、そして持続する。
それを理解する者こそが、社会においても、組織においても、真のリーダーとなる。


これにより、「馬の章」の中でも、自己制御の頂点を示す形での締めくくりがなされています。

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