「権限は上司から奪い取るもの」という教育を行う重要性が強調されています。
伝統的な責任と権限の理論が不適切であることが指摘され、新しい状況に適応するためには、経営者やリーダーが積極的に権限を求める必要があることが示唆されています。
企業は常に新しい状況に直面し、過去の経験だけでは対処できないことがあるため、責任を負いつつも必要な権限を確保する意識が求められます。
上司から権限を要求し、柔軟に新しい決定を下すことで、変化に対応できる組織文化を築くことが肝要です。
この新しいアプローチを理解し、部下に説明することで、組織内の権限に関する議論や批判を減少させ、未来志向の経営者としての役割を果たすことができるでしょう。
経営担当者は責任を逃げず、権限を奪い取る勇気を持つべきだという新たな理念が示されています。
「権限は上司から奪い取るもの」という教育を行え
組織論で常に問題になるのが、「責任権限論」である。
伝統的な責任権限論のおかす誤りは、拙著『マネジメントへの挑戦』に詳述してあるから、ここでは大切なことを一つだけ述べることとする。
それは責任も権限も、すでに企業が経験した事柄についてきまっているだけで、経験しない事柄についてはきまっていない、いや、きめたくともきめられないのだ、ということである。
ところで、これからの企業はたえず、いままで経験したことのない新しい事態にぶつかる。
そのときに、担当者が「責任も権限もきまっていない」といっていたのでは、何もできない。いや、新事態に対処する時期を失する。
経営担当者は、責任のみ重く権限はないもの、と思って行動しなければならないのだ。この意識が大切なのだ。
しかし、現実に権限がなければ、自分の任務を果たすことはできないこともたしかである。ではどうすべきか。それは、つぎのように考え、行動する以外にない。
経営担当者が新事態にぶつかったときに、なんらかの決定にせまられる。その決定を、自分に与えられている権限で処置していいかどうかを判断するのだ。
もしも、権限が与えられていないと思うならば、それについて、どのような権限がほしいのか、担当者から上司に要求するのが本当なのだ。
これならば上司は、それについての権限を与えるのか、上司自らが処置するのかについての決定をくだせるのである。このように、これからの企業にとっては、権限を明らかにする責任は担当者にあって、上司にあるのではない。
これが変化に対応する理論なのだ。だから、「権限が与えられていない」というのは、担当者の責任のがれ以外の何ものでもないのだ。
ここのところを、よく部下に説明し、理解させておく必要がある。
こうした考え方の革新をしておかないと、権限に対する論議がたえず企業の中に起こり、これが上司への批判という形をとってくるからおそろしいのだ。
伝統的な責任権限論のおかす罪悪をみれば、よくわかることである。部下に任せるということは、部下に自由に行動させるということであることはもちろんである。
しかし、もっと大切なことは、上司が前進するための時間を生み出すことができることである。
客観情勢の変化に対応することが最も重要なことであることを認識すれば、権限を委譲するということに、このような新しい意義を見つけ出すはずである。
この新しい理念を身につけてこそ、企業の要請する未来事業主義の経営担当者となりうるのである。
まとめ
このテキストのまとめは、組織における責任と権限についての重要な課題を探求しています。伝統的な責任と権限の考え方には問題があり、現代の企業環境では通用しないことが強調されています。新たな状況に遭遇する際、責任を果たすだけでなく、権限を持って前進する必要があります。
権限が不足している場合、経営者やリーダーはその不足分を上司に要求する必要があります。権限を持たないままでは新しい状況に対処できず、重要なタイミングを逃すことになります。
この新しいアプローチにより、経営者やリーダーは責任を負いつつも、必要な権限を確保し、新しい状況に適応できるようになります。組織内での権限に関する議論や批判を減少させ、未来志向の経営者としての役割を果たせるでしょう。新しい理念を広め、部下に理解させることが重要であると結論されています。
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