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■引用原文(日本語訳)
「私は武器のうちのヴァジュラ(金剛杵)である。牝牛のうちの如意牛である。私は繁殖させるもの〔のうちの〕カンダルパ(愛神カーマ)である。私は蛇のうちのヴァースキ(竜王の名)である。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第28節)
■逐語訳(一文ずつ)
- dhanūnāṁ asmi vajraṁ
→ 武器のうちでは、私はヴァジュラ(金剛杵)である。 - kāmadhuk sāmi kāmadhenuḥ
→ 願いをかなえる牝牛(如意牛)である。 - prajanaś cāsmi kandarpaḥ
→ 繁殖の原理では、私はカンダルパ(愛神カーマ)である。 - sarapāṁ asmi vāsukiḥ
→ 蛇類のうちでは、私はヴァースキ(蛇王)である。
■用語解説
- ヴァジュラ(金剛杵):インドラ神の武器で、雷を象徴する神具。破壊力と意志の堅牢さを象徴。
- 如意牛(カーマデヌ/カームドゥク):欲するものをすべて与える天界の牛。豊穣と恵みの象徴。
- カンダルパ(カーマ):愛と欲望の神。性的な愛情を通じて種族を繁栄させる存在。
- ヴァースキ(ヴァースキン):竜王・ナーガ族の王。乳海攪拌の際に綱として使われた大蛇。
■全体の現代語訳(まとめ)
「私は武器の中では、雷のように強力な金剛杵である。
牝牛の中では、望むものを何でも与える如意牛である。
繁殖の力では、私は愛の神カーマである。
蛇類の中では、私は竜王ヴァースキである。」
■解釈と現代的意義
本節では、戦い・富・愛・守護の象徴的存在を挙げ、神がそれらの力の根源であることを語っています。
ヴァジュラは正義を貫く力、如意牛は無限の与与性(富・資源)、カンダルパは創造的衝動(繁栄)、
ヴァースキは世界を支える力(忍耐・均衡)を象徴します。
バガヴァッド・ギーターはこれらを通じ、神のエネルギーは破壊にも創造にも宿ることを明示しています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
経営戦略 | ヴァジュラ=競争優位性の確立(圧倒的武器を持つ) |
プロダクト開発 | 如意牛=顧客の「願いを叶える」プロダクト設計 |
組織文化 | カンダルパ=創造性・繁殖力・愛を重視する文化づくり |
危機管理 | ヴァースキ=困難の“軸”を担い、世界を支える耐性を組織にもつ |
■心得まとめ
「神の力は、破壊にも創造にも宿る」
リーダーは、強き武器を持つこと、与える力を備えること、
愛と創造を大切にすること、そして、見えぬところで世界を支えること。
すべてが“神の顕現”であり、その均衡こそ真の力である。
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