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■引用原文(日本語訳)
実に、接触から生ずる諸々の享楽は、苦を生むものにすぎず、
始めと終りのあるものである。アルジュナよ、知者はそれらにおいて楽しまない。
(第5章 第22節)
■逐語訳
感覚との接触によって生まれるあらゆる快楽は、
苦しみを伴うものであり、
それには始まりと終わりがある。
だから、賢者はそれらに没入して楽しもうとはしない。
■用語解説
- 接触から生ずる享楽:感覚器官(五感)と外界の対象との接触によって得られる快感。たとえば、美味、音楽、感触、富、称賛など。
- 苦(ドゥッカ):満たされぬ欲、快の終わり、執着の崩壊から生じる心の苦悩。
- 始めと終り:感覚的快楽には永続性がないということ。必ず終わりが来る。
- 知者(プラグニャ):真理を理解した賢者、霊的に目覚めた人。
■全体の現代語訳(まとめ)
感覚によって得られる快楽は、一時的であり、必ず終わりがある。
そのような快楽を追い求めることは、結局苦しみを生む。
だから、真に賢い人は、それにのめり込んで楽しもうとはしない。
■解釈と現代的意義
この節は、「一時の快楽には落とし穴がある」と私たちに警鐘を鳴らしています。
物質的な豊かさや快楽は、得た瞬間には喜びがあるかもしれませんが、
それが去るときには空虚や執着、失うことへの恐怖、もっと欲しいという貪欲を生み、
心に苦をもたらします。
ゆえに、持続的な幸福は、外界の快からではなく、内面の成熟から生まれるという真理が示されています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用のポイント |
---|---|
モチベーション設計 | ボーナスや称賛など外的報酬だけに依存しない。仕事の意味・成長・内発的動機を重視。 |
戦略の持続性 | 流行りや短期的成果に飛びつくのではなく、長期的ビジョンと継続的な改善を重視。 |
意思決定 | 一時的な利益に目を奪われず、中長期の視点で「本当に価値あること」を選択する。 |
マインドセット | 快楽や成功に依存する思考を捨て、結果に振り回されず落ち着いた心を保つ。 |
■心得まとめ
「一時の快に溺れず、永続の安らぎを選べ」
快楽はやがて終わり、執着と喪失の苦しみを残す。
その本質を見抜いた知者は、安易な甘い誘惑に心を奪われず、
変わらぬ平穏と真の満足を内面に求める。
ビジネスにおいても、長続きしない刺激ではなく、価値あるものに集中すべきである。
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