成功には、心震えるような覚悟と発奮が不可欠
孟子は、誰もが聖王のようになれる素質を持っていると説いた。
それは天賦の性善であり、志と努力によって開花する。
孟子が斉の太子に語ったのは、ただの励ましではなかった。
歴史に名を残す聖人たち——堯・舜・文王・周公ですら、同じ人間である。
「自分も男子、彼も男子、畏れる理由などない」
「舜は何者か。自分も何者か。同じ人間ではないか」
彼らの志は、私たちにそのまま繋がっている。
しかし、それを現実のものとするには、はじめに「瞑眩(めんげん)するほどの強烈な薬」が必要だ。
つまり、目が回るほどの覚悟と発奮。
それなくして、病は癒えず、道は拓けない。
「若(も)し薬(くすり)瞑眩(めんげん)せずんば、厥(そ)の疾(やまい)瘳(い)えず」
耳が痛くなる忠言も、心が揺れる決断も、すべては病を治すため。
志を持ち、大いに奮発する者こそ、道を成し遂げることができる。
引用(ふりがな付き)
書(しょ)に曰(いわ)く、若(も)し薬(くすり)瞑眩(めんげん)せずんば、厥(そ)の疾(やまい)瘳(い)えず。
簡単な注釈
- 瞑眩(めんげん):目まいがするほどの強烈な反応。ここでは「本気の覚悟」を象徴する比喩。
- 疾(やまい)瘳(い)えず:病気が治らない、つまり本質的な変化は起こらないということ。
- 舜は何人ぞや、予何人ぞや:偉人との距離感をなくし、自らもその道を目指すという強い志の表れ。
- 為者亦是の若し:「やる者は、みなそうなるのだ」という孟子の確信に満ちた語気。
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