目次
■引用原文(日本語訳)
憎悪する彼らは、残酷で最低の人であり、不浄である。私は彼らを、輪において、絶えず阿修羅的な胎内に投げ込む。
(『バガヴァッド・ギーター』第16章 第19節)
■逐語訳(一文ずつ)
- 憎悪に満ちた彼らは、
- 残酷(クルーラ)で、
- **人間の中でも最も劣った者(アドハマ・ジャーナ)**であり、
- 不浄(アシュウチ)である。
- 私は彼らを、輪廻(サンサーラ)の中で、
- 絶えず阿修羅的な胎(アースリー・ヨーニ)に投げ込む。
■用語解説
- 憎悪(ドヴェーシャ):真理・神・他者・自己に対する根深い嫌悪。
- 残酷(クルーラ):他者への思いやりや慈悲を完全に欠いた行動。
- 最低の人(アドハマ・ジャーナ):魂の成長から最も遠ざかった人。
- 不浄(アシュウチ):内面が濁っており、徳を欠いている状態。
- 阿修羅的な胎内(アースリー・ヨーニ):再び悪しき性質に満ちた存在として生まれ変わること。
- 輪(サンサーラ):生死・業(カルマ)による輪廻の連続。解脱に至らない限り続くサイクル。
■全体の現代語訳(まとめ)
神(クリシュナ)は語る。憎しみにとらわれ、残酷で不浄な者たちは、人間の中でも最も堕落した存在である。私はそのような者たちを、解脱することなく輪廻の中に閉じ込め、再び阿修羅的な本性を持つ存在として生まれ変わらせる――これは、彼らの行為に対する結果としての自然な帰結である。
■解釈と現代的意義
この節は、「魂の方向性と転生の行方」を明確に説いている。行動と思考によって魂が濁り続けると、さらに低い状態へと落ち、そこで再び同じような性質の人生を繰り返す。
ギーターは警告する――徳のない心と行動は、自己を永遠の混乱と苦しみの輪に閉じ込めてしまう。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 教訓と示唆 |
---|---|
人格なき成果主義の代償 | 結果だけを求め、冷酷・残酷にふるまう人は、一見成功していても、信頼も心の平安も得られず、転落しやすい。 |
組織文化の堕落 | 他者を蹴落とし、憎しみに満ちた組織は、長期的に分裂や崩壊を招く「悪しき輪」に陥る。 |
再発する問題の構造 | 心の在り方を見直さないまま表面を変えても、同じ問題が繰り返される(=阿修羅的な胎に再投胎)。 |
カルマ的視点での経営 | 「どのような目的・動機で経営をしているか」が、その企業の未来を方向づける。 |
■心得まとめ
「心が濁るとき、運命もまた濁る」
怒り・憎しみ・傲慢が支配する人生は、成果を上げたとしても魂を蝕む。
ギーターは語る――魂の性質に応じて、生まれ変わりの行き先もまた決まる。
だからこそ、今この瞬間の「心の在り方」を正すことが、未来への最大の投資となる。
コメント