■引用原文(日本語訳)
聖バガヴァットは告げた。
「梵天の昼は一千世期で終り、夜は一千世期で終る。それを知る人々は、昼夜を知る人々である。」
――『バガヴァッド・ギーター』第8章第17節
■逐語訳
「梵天(ブラフマー)の一昼は一千ユガ(大周期)で終わり、
その一夜もまた一千ユガで終わる。
これを知る者は、真の昼と夜を知る者である。」
■用語解説
- 梵天(ブラフマー):宇宙創造の神。その一昼夜(1日と1夜)は人間の時間感覚を遥かに超える長さを持つ。
- 一千世期(サハスラ・ユガ):
インド神話における「ユガ」は宇宙の周期的時間単位。
1ユガ=約432万年とされ、1千ユガは約43億2千万年に相当。
昼と夜合わせて1日=約86億年というスケール。 - 昼夜を知る人々(アフユクタ・ヴィディター):
時間の本質、宇宙の生滅、永遠と無常の対比を深く理解している叡智ある者たち。
■全体の現代語訳(まとめ)
ブラフマー神の1日は、膨大な時間の流れの中で生と創造が進み、
夜になるとすべてが解体されていく。
この宇宙の壮大な時間のサイクルを理解する者こそが、
本当の意味で「昼と夜(存在と非存在)」を知る者である。
■解釈と現代的意義
この節は、時間と存在に対する「宇宙的な視座」を私たちに教えています。
日常的な尺度や短期的な判断に縛られていると、真実を見誤る――
逆に、長大な時間軸、宇宙的な循環の中で人生や行為を見つめるならば、
私たちは小さなことに囚われず、本質を見極めることができるようになります。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
長期視点の欠如 | 短期的な成果や損得にばかり囚われると、本質を見失い、道を誤る。 |
本質を見抜く力 | 変わりゆくトレンドに翻弄されるのではなく、長く続く原則に従う視野を持つことで、事業の持続性が高まる。 |
変化と循環の認識 | 市場や社会は「昼」と「夜」のように、興隆と沈静を繰り返す。永遠に栄えるものはなく、変化に備えた知恵が必要。 |
■心得まとめ
「広い時間軸で物事を見よ。そこにこそ真の知恵が宿る」
目先の成功や失敗に一喜一憂せず、
万物が生まれ、消え、また再び生まれる宇宙的リズムを感じること――
それが「真の昼と夜を知る者」であり、真理に近づく者の姿である。
ビジネスにおいても、一時の流行や浮き沈みに惑わされず、
普遍的な価値と長期視点に基づく行動こそが、真の成功と持続を導く鍵である。
コメント