目次
📖引用原文(日本語訳)
八*
善い領域(=天)におもむく人々は少ない。
悪い領域(=地獄など)におもむく人々は多い。
このことわりをあるがままに知ったならば、
安らぎ(ニルヴァーナ)に専念するものとなるであろう。
🔍逐語解釈と用語の意味
表現 | 解釈 |
---|---|
善い領域(天) | 天界(デーヴァ界)や人界の中でも善果を得て生まれ変わる清浄な次元。 |
悪い領域(地獄など) | 地獄(ナラカ)・餓鬼・畜生など、苦しみの強い境涯。 |
ことわりをあるがままに知る(ヤーターブータ・ナーナダッサナ) | 真理・現実を歪めずにそのまま観る仏教的智慧の視座。 |
専念する | 一時的な関心ではなく、意志をもって道(ニルヴァーナ)に帰依し続ける姿勢。 |
🧘♂️全体の現代語訳(まとめ)
実際に善き場所(天界)へと向かう人は少なく、
多くの者は煩悩や悪業に引かれて苦しみの多い世界(地獄など)へと向かっている。
この事実を「あるがまま」に理解したならば、
もはや人は現世の楽しみや欲望にとらわれることなく、安らぎ(ニルヴァーナ)への道に心を定めるであろう。
💡解釈と現代的意義
この句は、「人は善行を積み、清らかに生きているようで、実はそうではない」という現実を見据えた厳しい指摘です。
ほとんどの人が「欲望・怒り・無知」に流されて、知らず知らずのうちに苦しみの輪廻(悪い領域)に向かっている。
つまり、“当たり前に生きている”だけでは、善き世界には至れないのだ――
この厳粛な事実を直視したとき、人は「今、自分はどこに向かっているか」と自問するようになる。
そしてその問いは、最終的に「煩悩の火を消す」ための修行=ニルヴァーナへの専念へとつながっていきます。
💼ビジネスにおける適用
観点 | 適用内容 |
---|---|
価値判断の自覚化 | 目先の成果・損得にとらわれてばかりいると、チームや自分の心が「悪い領域=摩擦・疲弊・競争」に落ちていく。 |
経営判断の倫理性 | 楽な近道や非倫理的判断は、短期的に利益を生んでも、結果的には「組織全体を損なう苦界」につながる。 |
個人のキャリア形成 | 周囲に流されず、「この仕事は本当に意味があるか? 自分をよくするか?」という問いを持つことで、長期的な幸福を得られる道を選べる。 |
精神的な指針 | 「多くの人がしているから」ではなく、「それは善なのか?」という軸を持つことで、ブレない生き方ができる。 |
✅心得まとめ
「多くの者は流され、少数だけが登る。ゆえに、意志せよ、今こそ」
人は放っておけば欲望のままに流され、苦しみの連鎖に身を沈めていく。
だがそれを「事実」として知った者は、自らの足で別の道を選びはじめる。
それが安らぎ(ニルヴァーナ)に専念する者の第一歩である。
真理を知るとは、「厳しさを受け入れて、意志ある選択をすること」。
現代においても、流されずに歩む力こそが、もっとも希少で、尊い美徳なのです。
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