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売掛金問題の解決:資金繰りと意識改革で突破する方法

T社は、競争が激しい問屋業において、売掛金の膨張という課題に直面していました。顧客である小売店からの支払いをスムーズに受け取れず、資金繰りが悪化している状況は、問屋業に限らず多くの企業に共通する悩みです。本記事では、T社のケースをもとに、売掛金問題への対処法を探ります。


売掛金膨張の背景

T社のセールスマンは、小型トラックで商品を配送しながら顧客対応を行うドライバー兼営業マンとして働いていました。しかし、売掛金の回収を後回しにするケースが目立っていました。その原因には、以下のような事情が挙げられます。

  • 顧客への強い請求が難しい状況
    「今日は忙しい」「二、三日待ってほしい」といった顧客の言い訳に押され、セールスマンは無理に請求できず、取引を維持するために譲歩せざるを得ない。
  • 営業ノルマによる圧力
    売掛金回収に時間を割く余裕がなく、新規顧客の開拓や商品配送を優先せざるを得ない。

こうした日常の積み重ねが売掛金の膨張を招き、結果として月商の約3倍に達する売掛金残高が発生していました。


現状把握から始める資金繰り改善

T社ではまず、6か月分の資金繰り表を作成し、資金不足額や売掛金の状況を具体的に可視化しました。この作業により、次の事実が明らかになりました。

  • 資金不足を補うためには借入金が必要であること。
  • 売掛金を回収できれば、借入金を削減できること。

さらに、当月の資金繰り表を作成し、手形の決済日や給料支払日など、具体的な支払いスケジュールを整理しました。


セールスマンへの説明と意識改革

次に、セールスマンたちに対して、資金不足の現状と売掛金回収の重要性を説明しました。

  1. 現実的な危機感を共有
    「20日には手形決済があるが、当座預金残高が不足している」「25日の給料支払いに必要な資金が足りない」といった具体的な数字を示し、現状を理解させました。
  2. 「勘定合って銭足らず」の説明
    利益が出ていても現金が足りない状況を具体的に示すことで、売掛金回収がいかに経営にとって重要かを実感させました。

このプロセスを通じて、セールスマンたちに「売掛金回収は営業活動の一部である」という意識を浸透させることを目指しました。


トップの行動が鍵を握る

セールスマンだけに任せず、社長自らが得意先を回り、集金活動を開始したことも成功要因の一つです。経営トップが率先して動くことで、顧客に対する説得力が増し、売掛金回収のスピードが上がることがあります。


売掛金問題を解決するためのポイント

T社のケースから、売掛金問題を解決するためのポイントを整理すると次のようになります。

  1. 現状把握と資金繰り表の作成
    売掛金の実態や資金不足額を数値化し、経営の全体像を把握する。
  2. 社員への共有と意識改革
    単なる説得ではなく、具体的な数字をもとに危機感を共有し、売掛金回収の重要性を認識させる。
  3. 経営トップの積極的な関与
    社長や経営陣が率先して回収に動くことで、顧客に対する説得力を高める。
  4. 回収を優先する仕組みづくり
    売掛金の回収を営業活動の一環とし、セールスマンが効率的に動ける体制を整える。

売掛金回収の先にある経営の安定

売掛金の過剰は、資金繰りの悪化を招くだけでなく、経営全体の安定性を揺るがします。T社のように、現状を数値化して把握し、社員への説明と意識改革を進めることで、解決の糸口を見つけることができます。

また、トップが自ら動く姿勢は、社員だけでなく取引先にもポジティブな影響を与えるでしょう。売掛金問題は、適切な対応を通じて、より健全な経営基盤を築くための一歩とすることができます。

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