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小さな悪をも慎む者こそ、真の“道の人”である


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📜 引用原文(『ダンマパダ』第十九章 二六五)

大きかろうとも小さかろうとも悪をすべてとどめた人は、
もろもろの悪を静め滅ぼしたのであるから、〈道の人〉と呼ばれる。


📝 逐語訳

「どんなに小さな悪でも、大きな悪でも、
すべてを慎み断つことができた人は、
悪しき行いのすべてを静めて滅ぼした者である。
その人こそが〈道の人〉と呼ばれる。」


📖 用語解説

用語意味
悪(パーパ)身・口・意によって行われる非倫理的、自己中心的、有害な行為。
大きかろうとも小さかろうとも(マハンタン・チ・ピ・アラカン)社会的に重大とされる悪だけでなく、日常のささいな非道や不注意も含む。
とどめた人(ナイヴァラヤ)悪の衝動を抑え、意識的に手を出さなかった人。
静め滅ぼす(ウパシャマ・パッティ)悪しき傾向そのものを無くし、心を清浄に整えること。
道の人(サマナ)仏道を実践する者。形式ではなく、真に正しい行いに生きる人。

🌏 全体の現代語訳(まとめ)

目立つような大きな悪だけでなく、
人が見過ごしがちな小さな過ちや誘惑も、
すべてを断ち、心の中で悪を滅した人こそ、
真に仏の道を歩む「道の人」であると認められる。
それは表面ではなく、日常の細部において現れる修行である。


🔍 解釈と現代的意義

この偈は、倫理や行動における「徹底性」の重要性を説いています。
小さな不正や怠惰、言葉の粗さや思いやりの欠如など、
一見取るに足らないような悪も、自らの内に取り込んでしまえば、
やがて大きな過失や堕落へとつながります。
だからこそ、〈道の人〉とは、自らの行いの大小を問わず丁寧に律する人なのです。
これは、個人の修養だけでなく、社会的信頼の土台にも直結します。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・適用
コンプライアンス意識見逃されがちな軽微な規定違反(例:私的利用・グレーな経費処理)も、正す姿勢が組織の信頼を守る。
リーダーシップ小さな非礼や配慮不足にも敏感に対処できる人が、真に人を導く資格を持つ。
セルフマネジメント自分にしか見えない「小さな甘え」にも厳しく対処することで、人格と実力が磨かれる。
文化づくり「これくらいはいいだろう」が蔓延る職場は脆くなる。一人ひとりの姿勢が組織の質を決定する。

🧠 心得まとめ(ビジネス向け)

「小さなズレを正せる人が、大きな信頼を築く」

〈道の人〉とは、派手に正義を語る人ではなく、
誰にも見られていない場面でも、小さな悪に手を染めず、
淡々と善を選び続ける者。
その誠実な姿勢が、人格の深さとなり、組織の土台を支える力となるのです。


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