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執着の網を断ち、静けさの岸へ向かえ


■ 引用(出典)

五*
自己の愛執を断ち切れ、
池の水から出て来た秋の(蓮の)茎を手で断ち切るように。
静けさに至る道を養え。
めでたく行きし人(=仏)は安らぎを説きたもうた。
(『ダンマパダ』第18章 第5偈)


■ 逐語訳

  • 自らの心にある愛執(欲望への執着)を断ち切れ。
  • それはまるで、秋に水から現れた蓮の茎を手で切るように、しっかりと確実に行うべきである。
  • 心を静けさ(涅槃)へ導く道を育てよ。
  • 幸福の彼岸へと到達した覚者(仏)は、安らぎの道を示された。

■ 用語解説

用語解説
愛執(あいしゅう)「欲望」と「執着」が混ざった心の働き。欲しい、離れたくない、囚われる心。
秋の蓮の茎秋に伸びてきた蓮の茎は折れやすく、簡単に手で切れる。この比喩は、「愛執も見極めれば切れるもの」であるという示唆。
静けさ(涅槃・安らぎ)煩悩や執着から離れた心の状態。仏教で説かれる最終の悟りの境地。
めでたく行きし人(仏)真理を究め、解脱した存在。模範とすべき完成者。

■ 全体現代語訳(まとめ)

仏陀は語る――自分の心を縛っている「愛」と「執着」を、あたかも水辺の蓮の茎を折るように、決意と明晰さをもって断ち切れ。そうしてこそ、心の静けさ――真の安らぎへと向かう道が開かれる。覚者はその安らぎの道を、私たちに明確に説き示してくれているのだ。


■ 解釈と現代的意義

この偈は「変われないのではなく、変わらないことを選んでいるだけだ」という鋭い洞察を含んでいます。愛執は感情の根幹にあるため見落とされがちですが、それを見つめ、断つことで心の本当の平安が訪れるという教えです。現代に生きる私たちも、過去への未練、未来への過剰な期待、人への依存を断ち切ることで、ようやく静かな確信と自己信頼に至ることができます。


■ ビジネスにおける解釈と適用

観点応用の仕方
執着しない意思決定「これは自分が育てたから」「これまでやってきたから」という愛着で意思決定すると誤る。冷静に手放す力を持つことが必要。
退職・異動・人事判断特定の人やプロジェクトに情が入りすぎると、必要な改革ができなくなる。蓮の茎のように、潔い判断を。
ビジョンの純化執着が混ざるとビジョンが曇る。顧客や社会への本質的価値に集中することで、道が開ける。

■ ビジネス心得タイトル

「執着を切る手が、未来を拓く」

自らの中に潜む執着を見極め、しっかりと断ち切る勇気を持て。過去の成功、特定の人、こだわり…それらはときに進化を阻む足かせとなる。静けさと明晰さの中からこそ、本物の前進が始まる。


この第五偈は、精神的な「脱皮」とも呼ぶべき覚悟を教えてくれます。

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