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信じる対象は、心の質をあらわす

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■引用原文(日本語訳)

「純質的な人々は神々を供養し、激質的な人々は夜叉や羅刹を供養する。
他の暗質的な人々は、餓鬼や鬼霊の群を供養する。」
――『バガヴァッド・ギーター』第17章 第4節

■逐語訳

純質(サットヴァ)を持つ者は神々(デーヴァ)を礼拝する。
激質(ラジャス)を持つ者は夜叉(強力な精霊)や羅刹(恐怖の存在)を礼拝する。
そして暗質(タマス)に属する他の人々は、餓鬼(常に飢え渇く霊)や幽霊・悪霊などを礼拝する。

■用語解説

  • 純質(サットヴァ):清らかさ・智慧・調和の性質。
  • 激質(ラジャス):情熱・野心・興奮・行動の性質。
  • 暗質(タマス):無知・混迷・恐怖・怠惰の性質。
  • 神々(デーヴァ):自然や徳を象徴する高次の存在。
  • 夜叉・羅刹(ヤクシャ・ラークシャサ):力を持つが、しばしば暴力的・貪欲な性質を持つ精霊・魔物。
  • 餓鬼・鬼霊(プリータ・ブータ):執着や欲望にとらわれて彷徨う霊的存在。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは、信仰の「対象」そのものが、その人の心の質を反映していることを明確に語っている。
清らかな人は高次の神性を、情熱的な人は力や支配を象徴する存在を、無知や混乱にある人は恐れや執着の対象を拠り所とする傾向があるという。
つまり、「信じているもの」が、その人の霊性と心理のレベルを映し出している。

■解釈と現代的意義

この節は、人は自分の心にふさわしいものを信仰対象として選ぶという真理を示しています。
たとえば、恐怖心に支配された人は、それに共鳴するような「力づくの神」や「破壊の霊」を好み、調和を重んじる人は高潔な神を敬う。
信仰対象は偶然ではなく、内なる傾向の投影であるという洞察です。

現代においても、拝金主義、権力崇拝、自己啓発への執着、占いやオカルトへの没入など、信仰・依存の対象は多様ですが、それらは本人の心の質を如実に示しています。

■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
組織文化と崇拝対象成果・利益・地位ばかりを崇拝する組織は、激質や暗質に傾きやすく、倫理や幸福感を失いやすい。
リーダーの傾向自らが誰を・何を“理想像”として仰いでいるかに注目すると、自身の精神的傾向が見えてくる。
職場の偶像化傾向「カリスマ的上司」や「成果主義の英雄」を崇拝する風潮が強い組織は、激質的信仰に支配されている可能性がある。
健全な価値観の育成清浄で知性的な価値を共有することで、組織は純質の文化に近づく。理念・行動規範・人間観がカギ。

■心得まとめ

「あなたが信じるものは、あなたの心を映している」
信仰の対象は選ぶものではなく、その人の内面が自然に求めるものである。
だからこそ、何を信じているか、誰に共鳴しているかを見れば、心の状態が見えてくる。
ビジネスにおいても、理想とする人物像・方針・価値観が“組織や自分自身のグナ(性質)”を映す鏡となっている
だからこそ、日々「何を信じているか」を問い直すことが、進化の出発点となる。

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