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捨てるべきは行為か、それとも心か


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■引用原文(日本語訳)

「ある賢者たちは、行為は過失を伴うから捨てるべきであると言う。他の人々は、祭祀と布施と苦行の行為は捨てるべきではないと言う。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第3節)


■逐語訳

ある賢者たちは、「行為は欠点(過失・誤り)を含むものであるから、捨てるべきだ」と主張する。
一方で、他の人々(賢者たち)は、「犠牲(祭祀)、布施、苦行のような浄化的行為は、捨ててはならない」と説いている。


■用語解説

  • 行為(カルマ):ここでは、義務的・宗教的・道徳的なあらゆる行動を指す。
  • 過失(ドーシャ):怒り、誤り、執着、不完全性など、行為に伴う否定的要素。
  • 祭祀(ヤジュナ):神への供物を捧げる儀式。精神的浄化の一形態。
  • 布施(ダーナ):他者への与える行為。物質的・精神的な施し。
  • 苦行(タパス):自己鍛錬や精神的修練。欲望を克服する手段。

■全体の現代語訳(まとめ)

一部の人々は、行為には必ず過ちや苦しみが伴うため、それをすべて放棄すべきだと主張する。他方で、他の賢明な人々は、祭祀・布施・苦行といった自己浄化のための行為は、むしろ継続すべきであり、それらを放棄するのは誤りだと説いている。クリシュナはこの対立する見解を紹介し、次節でその真意を明かしていく。


■解釈と現代的意義

この節は、「行為は不完全だから避けるべきだ」という完璧主義的な見方と、「不完全でも意味ある行為がある」という実践主義的な見方の対比を示しています。
完璧を求めすぎて行動を止めるのではなく、意味ある行為を継続することが、精神的成長につながる――というメッセージへの序章となっています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
失敗への恐れ「完璧でなければ意味がない」として何も行動できなくなるのは、成長の妨げになる。失敗を恐れず、意味ある行動を重ねることが重要。
実務と理想のバランス理想論だけで動かず、現実の中で「意味ある実践」を重ねる態度(たとえばCSR、教育、人材育成)に価値がある。
組織文化小さな布施(助け合い)、精神的修養(フィードバック文化)など、外からは見えにくくても組織を支える実践が「捨ててはならない行為」である。

■心得まとめ

「不完全でも、意義ある行為は続けよ」
行為には常に誤りや限界が伴う。だからといって、全てを放棄すれば、浄化や成長の道も絶たれてしまう。布施・修養・奉仕など、意味ある行動は、たとえ不完全でも続ける価値がある。それが真の強さであり、誠実さである。


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