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悩みの海にあっても、心の岸にとどまる


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■引用原文(日本語訳)

悩める人々のあいだにあって、悩み無く、大いに楽しく生きよう。悩める人々のあいだにあって、悩み無く暮そう。
― 『ダンマパダ』 第十五章「楽しみ」 第198偈


■逐語訳

  • 悩める人々のあいだにあって:苦しみ、混乱、心配の中に生きている人々の中にいながらも、
  • 悩み無く:自らの心を保ち、悩みに引きずられずに、
  • 大いに楽しく生きよう:穏やかさと喜びをもって前向きに生きよう。
  • 暮そう:日々を平静に、充実した気持ちで送ろう。

■用語解説

  • 悩み(ドゥッカ):仏教における「苦(dukkha)」。不安・心配・葛藤・期待との不一致による心の不満足。
  • 楽しく(スッカ):単なる快楽ではなく、内面からの平穏と安定。煩悩や苦から離れた心の状態。
  • 人々のあいだにあって:現実社会、特に感情が揺れ動く環境の中で。

■全体現代語訳(まとめ)

世の中の多くの人々が不安や苦しみを抱える中にあっても、自らの心を悩みに染めることなく、静かで明るい心で毎日を生きよう――この偈はそう語ります。悩みを生むのは外の状況ではなく、それに対する心の反応であると気づくことで、穏やかな日々が可能になるのです。


■解釈と現代的意義

この偈は「環境に左右されない心の力」を教えてくれます。
現代は情報過多、過労、人間関係のストレスなど「悩みの時代」と言われるほど、多くの人が内面の不安を抱えています。その中で、悩みを持たないことは不可能に思えるかもしれません。

しかし、ブッダは「悩みのある世界の中でも、悩みのない心は可能である」と明言します。それは無関心ではなく、「智慧によって現象を見つめる力」によるものであり、これは訓練と意識によって育てられる精神態度です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・応用例
メンタルヘルス他者の焦りや悲観に巻き込まれず、内面の静けさを保つ力が、持続的なパフォーマンスを支える。
プロジェクトのプレッシャー対応緊張や困難な局面でも、冷静さと明るさを保つメンバーがいることで、チーム全体が安定する。
顧客対応や営業顧客の悩みや課題に触れながらも、自分の心を沈ませないことが、信頼と成果を導く。
問題解決力悩みに引きずられずに全体を俯瞰することで、本質的な問題を捉える力が育つ。

■心得まとめ(ビジネス視点)

「悩みの中に光を見いだす者が、真に人を導く」

悩みを抱えた人々の中にいても、自らがその悩みに巻き込まれることなく、安定した心と明るい態度を保つこと。それは、現代社会において極めて価値のある資質です。
ブッダのこの教えは、私たちが日々のストレスや課題に圧倒されずに、自らの精神を守るための智慧として、今なお力強い導きを与えてくれます。

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