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己を御せ、苦しみの岸を越えよ


目次

📖 引用原文(日本語訳)

一三
おのれ自らをととのえよ。
御者が良い馬をととのえるように。
おのれ自らをよくととのえて、念いをおちつけて、苦しみの彼岸に達する。
——『ダンマパダ』第十九章 第十三偈


📘 逐語訳(文ごと)

  1. おのれ自らを調えよ。
     → 他人ではなく、まず自分の心・行動・意志を整えることが最優先である。
  2. 御者が良馬を訓練するように、自分自身を調教せよ。
     → 熟練の御者が馬を静かに、的確に導くように、自分を正しく制御すること。
  3. 自己をよく整え、思念(こころ)を鎮めたならば、苦しみの彼岸に至る。
     → 心の平静を得たとき、人は煩悩を離れ、解脱に至る。

🧩 用語解説

用語解説
おのれを整える(アッタナン・ダンテー)行動・思考・感情・意志をバランスよく制御する仏教的修養。
御者と馬指導者と感情・欲望の象徴。自己制御の比喩。
念い(こころ)を落ちつける雑念・動揺を鎮め、心を静寂に保つ。瞑想・観察の実践。
苦しみの彼岸(パーラ)煩悩や迷いを離れた静寂・悟りの世界。ニルヴァーナの象徴。

💬 全体の現代語訳(まとめ)

他者に頼ることなく、自分自身の心と行動を整えなさい。
まるで熟練の御者が立派な馬を静かに訓練するように、自分の感情や意志を導くのです。
そうして心が静まり、澄んだとき、人はあらゆる苦しみの源から離れ、安らぎの彼岸へと至るのです。


🧠 解釈と現代的意義

この偈は、これまでのすべての教えを実践へと凝縮する行動の勧めです。
「自己調御」こそがテーマでありながら、どこか遠い理想のように感じてしまいがちな過去の偈に対し、
ここでははっきりと「おのれを整えよ」と命じます。これは、今すぐできる実践を促す言葉です。

現代においても、「自分を整える」ことができれば、
どれほど社会が騒がしくても、自分の中に軸と静けさを持ち、ぶれることなく前に進むことができます。


🏢 ビジネスにおける適用

観点適用例
セルフマネジメントタスク・スケジュール・思考・感情すべてを自己管理する力は、成果と信頼の根本をなす。
感情の制御とリーダーシップ感情的に反応せず、冷静で柔軟な対応ができるリーダーは、組織の安定軸となる。
メンタルの静けさ瞑想や内省によって思考を整理し、ブレない判断を下せる力が、高圧な状況下でも発揮される。
日々の整えの積み重ね小さな自己調整(例:挨拶、整理整頓、体調管理)の積み重ねが、人格と成果に直結する。

🧭 心得まとめ

「おのれを整えよ――心を鎮めて、苦しみの岸を越えよ」

これは、全ての哲理の「行動化」であり、
どんなに学び・理解しても、自分を制御できなければ意味がないという真理です。
日々の暮らし・仕事の中で、思い・行動・言葉を整えることが、苦しみを超える確かな一歩になるのです。

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