目次
📜 原文(第三四節)
真理が正しく説かれたときに、
真理を見とおす人々は、
全く死の領域を超えて、
彼岸に至るであろう。
🔍 語句と思想のポイント解説
用語 | 意味・意義 |
---|---|
真理(ダルマ) | 仏陀の説いた根本法則。宇宙と人生の根源的な真理。 |
正しく説かれたときに | 教えが歪められず、師により真正に語られたとき。 |
見とおす(パッスァティ) | 理解するだけでなく、“体得し、貫いて見る”という意味を含む。 |
死の領域(マラの領域) | 輪廻・無明・煩悩の世界、死に支配された迷いの生存。 |
彼岸(パーラ) | 涅槃・覚醒・解脱の境地。死と生を超えた静かな悟りの世界。 |
🧠 現代的解釈と意義
この節は、「人は死すべき運命にある」という前提を越えて、
**“正しい真理に出会い、それを深く理解した者は、死を超えることができる”**と明言します。
ここでいう「死」とは単なる肉体の死ではなく、
無知・執着・恐怖にとらわれた精神状態の象徴です。
その死の領域を超えるには、正しく説かれた真理と、それを見抜く智慧が必要とされます。
💼 ビジネスへの応用的視点
観点 | 適用例・示唆 |
---|---|
リーダーシップの本質 | 流行のマネジメント論ではなく、「原理に根ざした判断」が長期的成果を生む。 |
混迷の時代における選択眼 | 情報過多な時代、真理(本質)を見抜く洞察が生死(成功と失敗)を分ける。 |
企業の存続基盤 | 真に「理念」を見通して行動する組織は、短期の危機や市場の波に動じない。 |
個人の精神的独立 | 成果や数字に縛られず、「自らの真理(価値観)に忠実な人生」を選ぶことが、精神的な“死の超越”となる。 |
✅ 心得まとめ
「真理を見る目を持つ者は、
死をも超えて、静かな岸に至る」
私たちは誰しも、生と死、成功と失敗、喜びと苦しみの間を揺れ動いて生きています。
しかし――
その只中にあっても、真理をまっすぐ見抜き、深く受け止める智慧さえあれば、
その人はもはや、「死の力に支配されない自由な者」となれるのです。
この節は、**「知ること・悟ること・生きること」**が一体であるという、
仏教の核心を力強く宣言しています。
🔚 前後の位置づけと流れ(節33〜34)
節番号 | 内容 | 位置づけ |
---|---|---|
三三 | 多くの人は彼岸に至らず、こなたの岸をさまよう | 現実の厳しさと選別 |
三四 | 真理を見抜いた者は、死の領域を超えて彼岸に至る | その中の希望と道の明示 |
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