目次
📜引用原文(日本語訳)
第二九偈
さとりのよすがとなる七つのことがら*をよく実修し、
善いことをなす性で、つねに心の安定統一している人を〈修行僧〉と呼ぶ。
― 『ダンマパダ』 第二章 第二九偈
🔍逐語訳(文ごとの意訳)
- さとりのよすがとなる七つのことがらをよく実修し:悟りに到るための七つの要素(七覚支)を、繰り返し深く実践し身につけていること。
- 善いことをなす性で:善行が自然に湧き起こるような、習慣として身についている人格。
- つねに心の安定統一している人:心が散乱せず、サマーディ(禅定)によって常に静まり整っている人。
- 〈修行僧〉と呼ぶ:このような内外ともに成熟した修行者が、仏の定義する本当の比丘(修行僧)である。
📚用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
さとりの七つのよすが(七覚支 / サッタ・ボッジャンガ) | 以下の七つの修行項目。①念(気づき)、②択法(真理を選ぶ智慧)、③精進、④喜(喜び)、⑤軽安(心身の軽やかさ)、⑥定(集中)、⑦捨(平静・離我)。 |
実修する | 知っているだけでなく、日々の修行として身体化し実践していること。 |
善いことをなす性 | 自然に徳ある行為が出てくるような人格的成熟状態。 |
心の安定統一(サマーディ) | 一つの対象に心を定め、動揺しない精神状態。瞑想実践の核心。 |
🪞全体の現代語訳(まとめ)
悟りに至るための七つの修行項目を繰り返し実践し、
常に善き行動を自然と行い、
心を静かに、整えて保っている者――
その人こそ、名実ともに真の修行僧と呼ばれるのである。
🧠解釈と現代的意義
この偈は、仏教の中でも高度な修行段階で重視される「七覚支(さとりの七つの柱)」を実践している者を、
修行者としての完成に近い姿と讃えています。
つまり、「修行とは何をするか」だけでなく、
「それが心の中にどれだけ根を張っているか」こそが問われているということです。
知識や善意だけではなく、
実際の生活の中で、心がどれだけ“静まり、揺るぎなく、よき方向へ向いているか”――それが修行の本質なのです。
💼ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 実践への応用例 |
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成長の7つの柱(覚支)をビジネスに転用 | 「気づき」「選択力」「努力」「喜び」「軽やかさ」「集中力」「手放し(執着しない)」を整えることは、創造的かつ安定した仕事の土台となる。 |
“習慣化された善行”が人格になる | 瞬間の判断ではなく、日々の小さな選択と行動の積み重ねが、その人の「信頼」をつくる。 |
集中と平静の両立 | 高いパフォーマンスとは、集中していても肩に力が入っておらず、心が澄んでいる状態。 |
内なる成熟がリーダーの資質 | 外の成果よりも、内面の安定と徳がある人物こそが、長く人を導くリーダーになれる。 |
✅心得まとめ
「悟りとは、積み重ねた善と、静まり澄んだ心の中にある」
七つの実践を積み重ね、
日々の言動に善をにじませ、
動じない心で世界に立つ人――
その人こそ、歩く仏道である。
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