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決算整理④ 貸倒引当金の設定

目次

貸倒れとは

貸倒れとは、取引先の倒産や財務状況の悪化などにより、売掛金や受取手形が回収できなくなることをいいます。

1. 当期に発生した売掛金や受取手形が貸し倒れた場合

当期に発生したものが貸し倒れた場合、全額を 貸倒損失[費用] として処理します。

仕訳例

  • 取引: 得意先が倒産し、売掛金100円(当期に発生)が貸し倒れた。 借方: 貸倒損失 100 貸方: 売掛金 100
借方貸方
貸倒損失100売掛金100

2. 貸倒引当金とは

貸倒引当金は、将来の貸倒損失に備え、決算時に見積もった金額を設定するための勘定科目です。売掛金や受取手形の期末残高に対して、一定の割合で見積もります。

3. 貸倒引当金の設定

新規設定時

貸倒引当金を新規で設定する場合、見積もり金額を以下のように仕訳します。

仕訳例

  • 取引: 売掛金1,000円の2%を貸倒引当金として設定。 借方: 貸倒引当金繰入 20 貸方: 貸倒引当金 20
借方貸方
貸倒引当金繰入100貸倒引当金20

既存の貸倒引当金がある場合

既存の貸倒引当金が残っている場合、設定額と既存額の差額のみを調整します。

仕訳例

  • 取引: 売掛金1,500円の2%を貸倒引当金として設定既存の貸倒引当金は20円
    • 必要額: 1,500円 × 2% = 30円調整額: 30円 – 20円 = 10円
    借方: 貸倒引当金繰入 10 貸方: 貸倒引当金 10
借方貸方
貸倒引当金繰入10貸倒引当金10

過剰の場合

既存の貸倒引当金が設定額を超える場合、超過分を戻入れます。

仕訳例

  • 取引: 必要額が18円、既存額が20円。 借方: 貸倒引当金 2 貸方: 貸倒引当金戻入 2
借方貸方
貸倒引当金2貸倒引当金戻入2

4. 前期以前の売掛金が貸し倒れた場合

貸倒引当金が設定されている場合、その金額を取り崩して処理します。超過分は 貸倒損失 として計上します。

仕訳例

  • 取引: 売掛金100円(前期に発生)が貸し倒れ。貸倒引当金の残高は30円。 借方: 貸倒引当金 30 貸倒損失 70 貸方: 売掛金 100
借方貸方
貸倒引当金30売掛金100
貸倒損失70

5. 貸倒処理済みの売掛金や受取手形を回収した場合

回収額は 償却債権取立益[収益] として処理します。

仕訳例

  • 取引: 前期に貸倒処理した売掛金100円を現金で回収。 借方: 現金 100 貸方: 償却債権取立益 100
借方貸方
現金100償却債権取立益100

まとめ

  1. 当期に発生した貸倒れ → 全額を貸倒損失として処理。
  2. 貸倒引当金の設定:
    • 新規 → 全額を設定。
    • 既存 → 差額を調整。
    • 過剰 → 超過分を戻入れ。
  3. 前期以前の貸倒れ → 設定額を取り崩し、超過分を貸倒損失に計上。
  4. 貸倒済みの回収 → 償却債権取立益として処理。
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