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【2-58〜2-61】 感官の制御と内なる集中

目次

◆第2章 第58節による心得

●原文引用

「亀が頭や手足をすべて収めるように、感官の対象から感官をすべて収める時、その人の智慧は確立している。」(第2章 第58節)


●逐語訳

  • 亀がすべてを収めるように:カメが危険を察知して手足や頭を甲羅に引っ込めるように、
  • 感官をすべて収める時:目・耳・舌・鼻・皮膚の感覚器官を外界の対象から引き戻したとき、
  • その人の智慧は確立している:その人は揺るがない知性を持っているとされる。

●用語解説

  • 感官:五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)。外部刺激の入り口。
  • 対象:外界の魅力的なもの(音・美・快楽など)。
  • 智慧が確立している:内面的に安定し、真理に即した行動がとれる状態。

●全体現代語訳

ちょうどカメが頭や手足をすべて引っ込めるように、五感を外界の誘惑から引き戻す人は、真に安定した智慧を持っているとされる。


●解釈と現代的意義

感官に外界の情報が流れ込むままでは、心は容易に揺さぶられます。
しかし、自ら制御することで「主体的な判断」が可能になります。これは「誘惑に負けない意志」や「自己コントロール力」として、ビジネスにも直結します。


●ビジネスへの応用

状況応用ポイント
情報過多な環境過剰なニュース・SNS・周囲のノイズを遮断し、集中力を維持する。
マーケティング施策感情に流されず、データと戦略に基づいて判断する。
競争の中の自己維持外部の動きに翻弄されず、自社の価値と目的に立脚する。

●ビジネス心得タイトル

「引き戻す力が、見極めの智慧を育てる」


◆第2章 第59節による心得

●原文引用

「断食の人にとって、感官(かんかん)の対象は消滅する。ただし味は残る。しかし、最高の存在を知る時、その味さえも消え去る。」(第2章 第59節)


●逐語訳

  • 断食の人:欲望を断つ努力をしている人。
  • 感官の対象は消滅する:感覚的な誘惑は外的に距離を置ける。
  • 味は残る:内面ではまだ「欲する感覚」が残る。
  • 最高の存在を見る時:至高の真理(神)を体験するとき、
  • 味もまた消滅する:心の奥にあった欲望も自然に消えていく。

●用語解説

  • 味(ラサ):物質的快楽の“名残”としての魅力。
  • 最高の存在(パラマートマン):至高の実在、自己の根源。
  • 断食(upavāsa):ここでは比喩的に、欲望の抑制の意味。

●全体現代語訳

欲望を抑えようと努める人は、外的な誘惑は遠ざけられても、心の奥にその“味”が残る。しかし、至高の存在に触れる時、その味さえも消え去る。


●解釈と現代的意義

表面的に抑制しても、心の奥に執着が残っていれば真の自由ではありません。
ビジネスでも、「ただ我慢する」のではなく、「本質を理解して満足する」ことで初めて、継続的で自然な行動変容が起こります。


●ビジネスへの応用

状況応用ポイント
禁欲的目標達成意志だけに頼らず、ビジョンの納得感や意味づけで内面から行動を変える。
マネジメント単なる禁止でなく、動機付けや理念の共有で組織を動かす。

●ビジネス心得タイトル

「本質に触れるとき、欲望は自然と消える」


◆第2章 第60節による心得

●原文引用

「実にアルジュナよ、賢明な人が努力しても、かき乱す諸々の感官が、彼の意を力ずくで奪う。」(第2章 第60節)


●逐語訳

  • 賢明な人でさえ:知恵ある者でも、
  • 努力しても:自制しようと努めても、
  • 感官が意を奪う:五感が心のコントロールを破ってしまうことがある。
  • 力ずくで:強引に、無理やりに。

●用語解説

  • 感官:五感、欲望を生む外部の刺激。
  • 意(マナス):意思・注意力・内面の心。
  • 奪う:主体的判断を失わせる、理性を曇らせる。

●全体現代語訳

アルジュナよ、どれほど賢明な人でも努力していても、感覚器官はしばしば強引に心の働きを乱し、理性を奪うことがある。


●解釈と現代的意義

人間は感覚に影響される存在です。だからこそ、理性的な判断を保つには環境づくりや習慣の力が不可欠です。自己管理やチームマネジメントにおいて、感情や誘惑にどう対処するかが成果を左右します。


●ビジネスへの応用

状況応用ポイント
目標逸脱感情や気分による判断ミスを防ぐために、仕組みや振り返りを定着させる。
経営判断流行や他社事例に流されず、本質と長期的視点を持つこと。

●ビジネス心得タイトル

「感情は強い、だからこそ仕組みを持て」


◆第2章 第61節による心得

●原文引用

「すべての感官を制御して、専心し、私(クリシュナ)に専念して坐すべきである。感官を制御した人の智慧は確立するから。」(第2章 第61節)


●逐語訳

  • 感官を制御して:外部の刺激に反応しすぎないようにする。
  • 専心し、私に専念して坐す:一つの対象(ここではクリシュナ/神)に心を集中する。
  • 智慧は確立する:そうした集中を通じて知性が安定し、深まる。

●用語解説

  • 坐す(すわす):ここでは静かに心を落ち着ける・瞑想的に留まる意。
  • 私に専念する:信仰だけでなく、“最高の価値”に心を向けるという比喩的な意味もある。
  • 感官制御:感情や衝動を統御する能力。

●全体現代語訳

すべての感覚を制御し、心を一点に集中させて、至高の価値に向けて落ち着いて坐すべきである。感覚を制御した者にこそ、揺るがない智慧が備わるのだ。


●解釈と現代的意義

心があちこちに引っ張られる現代において、「一点集中」や「価値への忠誠」は大きな強みになります。雑多な刺激から距離をとって、最も重要なことに心を傾ける姿勢が、継続的成果と静かな自信を生みます。


●ビジネスへの応用

状況応用ポイント
経営理念の浸透雑音に惑わされず、中心価値に向けた行動を重ねる。
チーム運営メンバーの注意散漫を防ぎ、目的意識を共有・集中させる。
タスク管理同時進行を避けて、優先度に集中し深く取り組む。

●ビジネス心得タイトル

「一点に心を定める者が、最も遠くまで届く」

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