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■引用原文(日本語訳)
〔行為の〕ヨーガに専心し、自己を清め、自己を制御し、感官を制し、その自己が万物の自己となった者は、行為をしても汚されない*。
(第5章 第7節)
*汚されない:行為によってカルマ(業)の束縛を受けない。
■逐語訳
ヨーガ(無執着の行為)に専心し、自己を浄め、自己の内面を制御し、五感を支配し、自己がすべての存在の中の自己(普遍的自己)となった者は、たとえ行為をしても、その行為によって汚されることはない。
■用語解説
- ヨーガに専心する:行為に集中しつつも、結果に執着せず心を整える実践。
- 自己を清め、制御する:欲望や怒り、混乱を静めて、内面の調和を得ること。
- 感官(五感)を制する:視覚・聴覚などの外界への反応を節度あるものに保つ。
- 万物の自己となる:自我を超えた視野で、他者と一体であるという感覚に至ること。
- 汚されない:行為によって煩悩や執着を増やさず、カルマに縛られない状態。
■全体の現代語訳(まとめ)
ヨーガに集中し、自己を整え、感情と感覚をうまく制御し、さらに自己を万物と一体であると悟った人は、どれだけ行動してもその行動に煩悩や執着が入り込むことなく、心は汚されない。
■解釈と現代的意義
この節は、「行為をしながらも、心の純粋性を保つ人こそが真に自由である」と説いています。現代では、多くの行動が欲や不安に動かされる傾向がありますが、ギーターは、内面を整えることで、たとえ多くの仕事や責任を果たしていても、それに縛られず、むしろ清らかであり続けられると教えます。
これは“働きながらも心を濁さずに生きる”という、現代人にとって非常に重要なテーマです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
セルフマネジメント | 自己の内面を日々整える習慣(瞑想・振り返り・読書など)によって、仕事中の感情やストレスをコントロールする。 |
職務の中立性 | 成果や承認を目的とせず、職務を「なすべきこと」として淡々と実行する姿勢を保つ。 |
リーダーシップ | 「自分のため」ではなく、「チームや社会の一部として働いている」という意識が、謙虚で一貫したリーダー像を育てる。 |
持続的成長 | 行動を続けながらも、感情や執着に流されずに、自らの軸を保つ人が最も信頼され、長期的に成長できる。 |
■心得まとめ
「内面を制した者は、外の行為に染まらない」
行為の多さや忙しさではなく、内面の在り方こそが人を浄める。どれだけ働こうとも、自己を整え、執着を離れ、全体とのつながりを意識する者は、行為の中でこそ自由に生きることができる――それがギーターの教えです。
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