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真に愛するなら、自らを律する覚醒を


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■引用原文(日本語訳)

『ダンマパダ』第十二章「自己」第157偈

「もしもひとが自己を愛しいものと知るならば、自己をよく守れ。賢い人は、夜の三つの区分のうちの一つ*だけでも、つつしんで目ざめておれ。」


■逐語訳

  • もしも人が(yadi hi attanā)
  • 自己を愛しいものと知るならば(piyaṃ jānāti)
  • 自己をよく守るべきである(rakkheyya)
  • 賢い者は(paṇḍito)
  • 夜の三分の一の間だけでも(rattiyā ekaṃ bhāgaṃ)
  • つつしんで目覚めていよ(pabujjheyya nām)

■用語解説

  • 自己(attanā, attā):ここでは「自分自身」=肉体・心・行動すべてを含む主体のこと。
  • 守れ(rakkheyya):単に保護するというよりも、「倫理的に、慎みをもって保つ」という含意。
  • 三つの区分(rattiyā ekaṃ bhāgaṃ):古代インドでは夜を「初夜・中夜・後夜」に三分割し、瞑想・修行・眠りのバランスをとる思想がある。
  • 目覚めておれ(pabujjheyya):外的覚醒というより「内面の覚醒・気づき(sati)」の意味が含まれる。

■全体の現代語訳(まとめ)

もしあなたが本当に自分自身を大切に思うならば、自己を律し、正しく導かなければならない。知恵ある人は、夜の時間の一部でもいいから、心をつつしみ、覚醒した意識で過ごす努力をすべきである。


■解釈と現代的意義

この偈は、「自分を大事にする」という行為は、甘やかすことではなく、むしろ「自己の規律と内省」によって達成されるものであると説いています。深夜に何かを成すという意味ではなく、静かな時間において自らを見つめ直す重要性を語っているのです。

現代では、自己肯定感や自己愛が注目されますが、それは放縦や逃避ではなく、自己管理と精神的覚醒によって実現されるべきものであるという仏教的な洞察がここにあります。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・適用例
自己マネジメント本当に自分を大切にするとは、健康・時間・感情を管理する力を育てること。
ナイトルーティンの重要性一日の終わりに少しでも内省の時間を持つことで、仕事と人生の質が大きく変わる。
リーダーの自覚部下を導くには、まず自らの意識と行動を律することが必須。自分を愛せぬ者に、他者を導く資格はない。
成長と規律本当の自己愛とは、甘やかすことではなく、自分に対して必要な負荷や努力を課すことである。

■心得まとめ

「自分を愛するとは、自分を律すること。静けさの中で目覚め続けよ」

自己への愛を真実のものにしたければ、逃避や甘えではなく、静かな時間にこそ自分と向き合い、内面的な覚醒を育てなければならない。真の成長も、夜の一瞬の気づきから始まる。ビジネスにおいても、日々のリズムの中に「律する自分」を確保することが、成功の礎となるのです。

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