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自己を律する者、やがて世に知られる


■ 引用原文(日本語訳)

この世では自己こそ自分の主である。
他人がどうして(自分の)主であろうか?
賢者は、自分の身をよくととのえて、名声を得る。
――『ダンマパダ』第14節(一四)


■ 逐語訳と用語解説

  • 自己こそ自分の主:人生の選択・行動・運命を決定するのは、外部ではなく自己であるという主権意識。
  • 他人がどうして主であろうか?:他人に振り回されてはならず、自分を導くのは常に自分自身であるという強い自覚。
  • 賢者(パンディタ):自分を制御し、正しく行動し、調和ある人格を保つ者。
  • 身をよくととのえる:心・行動・生活習慣の統御と整備。言動の一貫性。
  • 名声(ヤーサ/yasa):社会的な認知・評価・尊敬。外から与えられるものだが、原因は内にある。

■ 全体の現代語訳(まとめ)

「この世において、自分の人生の舵を取るのは、他ならぬ自分自身である。
他人が自分の生き方を決めることはできない。
賢者は、自分自身を整えることで、やがて自然と名声を得る。」

この教えは、「外的評価(名声)は、内的な整いから生まれる」という因果の原理を説いています。


■ 解釈と現代的意義

この章句は、**「真の名声は追いかけるものではなく、整った人格に自然と従うものだ」**という仏教的価値観を示しています。

現代では、「名を上げたい」「SNSで注目されたい」といった結果への欲求が強調されがちですが、仏教はその逆を説きます。

まずは己を整えよ。結果はそのあとから自然とついてくる。
本当の名声は、自らを律する者の背後に静かに現れるものである。

この章句は、行いの積み重ねが社会的信頼・評価に転化するプロセスを教えてくれます。


■ ビジネスにおける解釈と適用

領域適用例
ブランド構築SNSマーケティングではなく、誠実な商品・顧客対応・理念の実践が、信頼されるブランドを作る。
経営者の信頼性経営判断・日常の言動・社員への姿勢が整っていれば、自然と社内外での評価が高まる。
社員の評価・昇進見せかけではなく、一貫した行動・他者への配慮・責任感などが、周囲からの推薦を生む。
採用・人事書類やスキルより、日々の仕事における姿勢が、組織内外で「名声」として蓄積されていく。

■ 感興のことば(心得まとめ)

「徳の背に、名声はついてくる」

求めずして敬われる人がいる。
それは、日々黙々と己を律し、言葉より行いを優先する人である。
本物の名声は、自分を整えた人のもとに、
やがて静かに、そして確実に届く。


本章句を含む「自己統御シリーズ(第11〜14節)」は、自律・成果・信頼・社会的評価のプロセスを段階的に説く教えの連なりでもあります。

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