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自己も所有も空なれば、執着は越えられる


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📜 引用原文(四*)

もしも或る人にとって身体について真相を念うことがつねに完全に確立したならば、その(「アートマン」という迷い)は存在しないであろう。「わがもの」という迷いも存在しないであろう。
その(「アートマン」という迷い)はあらわれないであろう。「わがもの」という迷いも起らないであろう。
この人は種々の念いに順次に住するから、やがて適当な時が来れば、執著(の流れ)を超えるであろう。


🔍 逐語訳・用語解説

  • 身体について真相を念う:身体の無常性・不浄性・苦しみ・無我性(四念処)を常に観察・瞑想すること。
  • 「アートマン」という迷い:恒常不変な「私」という実体があるという錯覚(我執)。仏教では否定される概念。
  • 「わがもの」という迷い:「これは私の〇〇だ」という所有への執着。「私」の拡張としての執着心。
  • 種々の念いに順次に住する:さまざまな観察や瞑想状態に段階的にとどまる(止観のプロセス)。
  • 執著(の流れ)を超える:渇愛・欲望・執着の連鎖(煩悩)から抜け出し、解脱に至ること。

🗣 全体の現代語訳(まとめ)

身体の本質を常にありのままに観察し、その理解が完全に確立した人には、「自分(アートマン)」という幻想も、「私のもの」という執着も起こらない。そのような人は、さまざまな観察や気づきの段階に順々にとどまり、やがてふさわしい時に、執着の束縛を乗り越えるだろう。


💡 解釈と現代的意義

この教えは、「自分」や「所有」という思い込みが、苦しみや争いの源であることを明示しています。「これは私だ」「これは私のものだ」という考えが強くなるほど、私たちは恐れ・怒り・不安に巻き込まれやすくなります。

逆に、身体も心も所有物ではないと理解できたとき、私たちは「手放す力」と「自由な生き方」を獲得できます。これは現代のアイデンティティの呪縛から抜け出すための普遍的指針とも言えるでしょう。


🏢 ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と実践例
執着の認識「自分の評価」「自分の成果」への執着を手放すことで、冷静で広い視野を持てるようになる。
所有欲と関係性部下やチーム、顧客を「コントロールすべきもの」と見なすことをやめ、信頼と尊重に基づく関係を築ける。
アイデンティティの柔軟性「自分はこういう人間だ」という固定観念から自由になれば、変化に柔軟に対応できる力が育つ。
真のリーダーシップ役職や権限に固執せず、利他的な行動に徹する姿勢が、組織の尊敬と安定をもたらす。

✅ 心得まとめ

「これは私だ」「これは私のものだ」と言わなくなったとき、人は自由になる」

自己という幻想と、所有への執着――
この二つが、人間を苦しめる根本の原因です。
それを正しく見つめ、段階的に観察と気づきの実践を積む人は、やがて自然と執着の連鎖を越えていきます。
ビジネスの現場でも、「自分の功績」「自分の立場」に固執せず、組織全体の流れを見つめ、適切に手放すことで、より深い信頼と持続的な安定が得られるのです。


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