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■引用原文(日本語訳)
「各自の行為にいそしむ人は成就を得る。自己の行為にいそしむ人が、どのようにして成就を見出すか、それを聞くがよい。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第45節)
■逐語訳
それぞれの人が、
自分自身の性質(本性/スヴァバーヴァ)に基づく行為に努めるならば、
精神的な成就(シッディ)を得ることができる。
次に、どのようにしてこの「自己の行為」によって成就がもたらされるか――
それを私から聞くがよい。
■用語解説
- 自己の行為(スヴァカルマ):自分の本性・資質に応じた務め。個人の「天職」ともいえる。
- 成就(シッディ):自己完成、悟り、あるいは人生の目的の達成。単なる成功ではなく「魂の成熟」を意味する。
- いそしむ(努める):誠実に、継続的に行為を果たし続けること。
■全体の現代語訳(まとめ)
それぞれの人は、自分に与えられた特性や役割を活かして
誠実に行為を果たしていくことで、精神的にも人生的にも完成に至る。
その「自分の道」を歩むこと――それこそが真の達成(シッディ)への道であると、ギーターは説いている。
■解釈と現代的意義
この節は、「個別性の尊重」と「内発的キャリア」の大切さを示します。
社会には多様な役割があり、
人それぞれに異なる資質と天与の道があります。
他人の道や社会的な成功モデルを追うのではなく、
「自分自身の性質と向き合い、自分の行為を全うする」ことが、
もっとも深い満足と完成をもたらす道だという哲学です。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 実務での適用例 |
---|---|
キャリア設計 | 他人の成功パターンを真似るよりも、自分の強み・興味・信念をもとにキャリアを築く方が、長期的な満足と成果につながる。 |
目標設定 | 成果ではなく「自分がすべきこと・やりたいこと」に軸を置くことで、ぶれない行動が取れる。 |
職場における多様性の尊重 | 人はそれぞれ違う道を持っていることを認識し、全員に同じ型にはめた働き方を強制しない。 |
内発的動機づけ | 「やらされている」仕事より、「自分の天職」と感じる仕事のほうが、深い集中と持続性を生む。 |
■心得まとめ
「他人の道ではなく、自分の道を真剣に歩け」
ギーターは言う――
あなたがあなた自身の行為に誠実であるなら、
それがそのまま、魂の完成への道になる。
何かを「目指す」こと以上に、
「今、自分の本分を果たすこと」が、最も深い意味での成就なのです。
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