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正しき教えを離れた修行は、破滅の種となる

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■引用原文(日本語訳)

「教典に規定されない恐ろしい苦行を行う人々、偽善と我執に満ち、欲望と激情と暴力に満ちた人々、」
――『バガヴァッド・ギーター』第17章 第5節

■逐語訳

教典に基づかない、おぞましい苦行を実践する人々――
彼らは偽善に陥り、我執(エゴ)にとらわれ、欲望・激情・暴力に満ちている。

■用語解説

  • 教典に規定されない(アーガマヒタ):ヴェーダなどの正統な教えに反し、自分勝手な形式で行われる修行や儀式。
  • 恐ろしい苦行(クラウラ・タパス):身体を傷つける・極端な禁欲・他人への攻撃など、害を伴う極端な修行。
  • 偽善(ダンバ):外面では善や修行を装いながら、内面では利己心や虚栄心にとらわれている状態。
  • 我執(アハンカーラ):自我の固執。「私が」「私のために」という強い執着。
  • 欲望・激情・暴力(カーマ・ラウラ・クローダ):感情や欲求に支配された状態。調和を欠いた激質・暗質的傾向の表れ。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは、正しい教えに基づかない「偽の修行者たち」について警鐘を鳴らしている。
それは、表面的には禁欲や苦行を装いながら、実際には自己顕示・欲望・怒り・暴力などに支配されたものであり、真の霊的成長とは正反対の方向に向かっていることを明示している。

■解釈と現代的意義

この節は、「修行や努力」そのものが善なのではなく、それがどんな動機と指針に基づいているかが重要であることを説いています。
人はときに、自らを苦しめるような極端な挑戦や禁欲を「偉業」と誤解します。しかし、それが虚栄心や支配欲、他者からの賞賛を求めるものならば、それはただの“偽善”であり、危険です。
正しく導かれない努力は、むしろ害となる――これは現代社会にも共通する普遍的な教訓です。

■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
パフォーマンス過多の危険必要以上の過労や自己犠牲を「美徳」とする風潮は、長期的には組織を蝕む。表面だけの“頑張り”は、真の価値を生まない。
リーダーの姿勢権威のために禁欲的なスタイルを演出するリーダーは、信頼を得にくい。本質ではなく“演出”に走ると周囲を疲弊させる。
行動の動機を見極めるどんなに努力や自己規律を見せても、それが「自己顕示欲」や「報復感情」によるものであれば、やがてその歪みが組織を崩す。
健全な指針の必要性正しい価値観・文化(=現代の教典)に基づかない努力や成果主義は、暴走を招きやすい。組織には“心の指針”が不可欠。

■心得まとめ

「正しく導かれぬ努力は、破滅を招く偽善となる」
外見上の努力や禁欲が本物に見えても、内面が虚栄・我欲・怒りに満ちていれば、それは破壊の道を歩んでいるに過ぎない。
現代の仕事や修行にも通じる教え――正しい信念と価値観に支えられた努力こそが、人と組織を成長させる。指針なき努力は、成果を生まずに人を壊す。

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