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清らかさもまた、執着の種となる

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■引用原文(日本語訳)

「そのうち、純質は、汚れないものであるから、輝き照らし、患いのないものである。それは、幸福との結合*と知識との結合によって束縛する。」
(第14章 第6節)
*結合(サンガ)=結びつき、執着、依存とも訳せる。


■逐語訳

その三つの性質のうちで、純質(サットヴァ)は、汚れがなく、明るく輝き、穏やかである。しかし、それは幸福や知識に結びつくことによって、個我(アートマン)を束縛する。


■用語解説

  • 純質(sattva):清らかさ・光明・知識・平和などを象徴する性質。心を高めるが、同時に「善」に執着を生む可能性がある。
  • 汚れない(nirmalatvāt):煩悩や混乱がなく、純粋で清澄な状態。
  • 輝き照らす(prakāśakam):識別力・理解力・知性・意識の明瞭さ。
  • 患いのない(anāmayam):苦悩や病的な傾向を持たない。
  • 幸福との結合(sukha-saṅgena):快楽的満足に執着する心の傾向。
  • 知識との結合(jñāna-saṅgena):知性や洞察への過度な執着。

■全体の現代語訳(まとめ)

純質は、清らかで、光のように明るく、穏やかな幸福をもたらす性質である。だが、それさえも「快適さ」や「知性への誇り」に執着すると、魂を束縛する原因となる。つまり、「善」や「賢さ」への執着もまた、真の自由を妨げるのだ。


■解釈と現代的意義

この節は、私たちが「よいこと」「正しいこと」をしているつもりでも、それが“無自覚な執着”になってしまえば、心の自由を失ってしまうという深い洞察を含んでいます。「善」や「快適さ」「知識」への依存が、かえって自己の成長を妨げることがあるのです。本当の自由とは、あらゆる性質の“結合(とらわれ)”から離れた境地にあるのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
「善の罠」「いい人でいよう」とするあまり、問題に向き合わず曖昧にしてしまう――それも執着であり、リーダーシップの制限となる。
快適さへの依存高い安定性・快適な環境・過剰な合理性に満足すると、成長や挑戦を避けるようになる。成長には時に不快も必要。
知識の誇りと執着賢くあろうとするあまり、人に任せず、他人を見下す傾向が出てしまう。これもまた執着による束縛。
表面的な「清らかさ」道徳や理念を重んじることは大切だが、それが「正しさへの固執」となると、組織の柔軟性や実行力を損なう。

■心得まとめ

「善にとらわれると、善は束縛になる」
純質は理想的で清らかな性質だが、それさえも“とらわれ”に変わる可能性がある。自由とは、善悪の二元を超えて、自らを静かに見つめる力にある。ビジネスでも、「快適さ」「正しさ」「知識」に酔わず、真の自由とバランスを持って判断する姿勢が、持続的成長を導く。

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