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姿でも声でもない、本質を見よ


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■引用原文(日本語訳)

一二 色かたちによって、わたしを測り、
また音声によって、わたしを尋ねもとめた人々は、
貪欲や情欲に支配されているのであって、
(実は)わたくしのことを知らない。
――『ダンマパダ』 第二二章 第十二節


■逐語訳

  • 色かたちによって測る:外見、身体、容姿などの物質的側面で仏陀を評価すること。
  • 音声によって求める:言葉・教えの表面だけを追い、形としての教えに執着すること。
  • 貪欲や情欲に支配されている:執着・欲望・感情に左右されて、本質を見失っている状態。
  • わたしを知らない:仏陀の本質(覚者としての真理、あるいは普遍的な真我)に到達していない。

■用語解説

  • 色(ルーパ):目に見える形体。外見、容姿、表面的な印象を象徴。
  • 音声(サッダ):耳で聞く音。言葉や教義そのものに執着する態度。
  • 貪欲(ローバ)・情欲(カーラ):感官的快楽や世俗的欲望。精神的自由を妨げる煩悩。
  • わたし(仏陀):ここでは仏陀個人というよりも、「目覚めた存在(ブッダ)」の本質を指す。

■全体の現代語訳(まとめ)

仏陀は言う――
わたしの姿かたちや声にとらわれ、それをもとにわたしを理解しようとする者たちは、
実は欲望や執着に囚われており、本当の意味でわたしを知ってはいない。
仏陀を知るとは、その外面ではなく、内なる覚醒の本質を見抜くことなのだ。


■解釈と現代的意義

この詩句は、**「外面を追う者は、本質を見失う」**という、
現代においても非常に通用する教えです。

私たちはしばしば、外見・肩書・発言・評判といった“形”で人や事象を判断しがちですが、
仏陀はここで「それらに執着する者は、真理に至ることはできない」と明言します。
本質とは、沈黙の中に、行いの中に、あるいは気配の中に現れるものであり、
それは、貪欲や感情から離れた静かなまなざしによってのみ捉えられるのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点実務への応用
人材評価履歴書・経歴・肩書ではなく、「行動の一貫性」「姿勢」からその人の本質を見極めること。
マーケティング見た目・派手さ・表層的メッセージよりも、「提供価値の本質」に目を向けた商品設計が信頼を得る。
リーダーシップ声の大きさやカリスマ性ではなく、日々の誠実な行動にこそ本物の影響力が宿る。
自己認識自分を「見た目」や「評判」で判断するのではなく、「どう生きているか」に基づいて評価すべき。

■心得まとめ

「形に惑うな。光は音や姿の奥に宿る」

仏陀を本当に知るとは、その肉体でも、言葉でもない。
本質を見極める心こそが、真理への道である。
この詩句は、私たちの日常においても、
「評価」「判断」「理解」すべてにおいて外面ではなく内面を見つめる重要性を示してくれます。


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