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■引用原文(日本語訳)
「私は旋律におけるブリハット・サーマンである。韻律におけるガーヤトリーである。私は暦月のうちのマールガシールシャ月である。季節のうちの花の盛りの候(春)である。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第35節)
■逐語訳(一文ずつ)
- bṛhat-sāma tathā sāmnām
→ 私はサーマ・ヴェーダの讃歌の中のブリハット・サーマンである。 - gāyatrī chandasām aham
→ 韻律の中では私はガーヤトリーである。 - māsānāṁ mārga-śīrṣo ’ham
→ 月の中では私はマールガシールシャ月である。 - ṛtūnāṁ kusumākaraḥ
→ 季節の中では私は花の盛りの季節(春)である。
■用語解説
- ブリハット・サーマン(bṛhat-sāman):サーマ・ヴェーダの中で最も荘厳な旋律を持つ詠唱。神聖さと高貴さを象徴。
- ガーヤトリー(gāyatrī):三行二十四音節からなる最も神聖な韻律。多くのマントラの形式でもあり、「ガーヤトリー・マントラ」は有名。
- マールガシールシャ(mārgaśīrṣa):11月〜12月頃にあたるインドの暦月。豊穣と霊的静けさの時期とされる。
- クスマーアカラ(kusumākara):花咲く季節=春(ヴァサンタ)。喜び、再生、美の象徴。
■全体の現代語訳(まとめ)
「私は讃歌の中ではブリハット・サーマンであり、韻律の中ではガーヤトリーである。私は暦月の中ではマールガシールシャ月であり、季節の中では花咲く春である。」
■解釈と現代的意義
この節では、「音楽・言語・時間・自然」といった美や秩序の象徴の中に神の顕現を見出しています。
- 調和された旋律や詩は神聖さを帯びる。人の心を整え、精神を高めるもの。
- 時間(暦月・季節)もまた、神の表れとして経験される。
- 神は、荘厳なる響き・神聖なリズム・時の流れ・自然の美に宿る。
■ビジネスにおける解釈と適用
項目 | 現代的な応用 |
---|---|
旋律・韻律(ブリハット・サーマン、ガーヤトリー) | プレゼン・言語表現・ブランドストーリーなど、響く「言葉とリズム」の力を活かす。 |
暦(マールガシールシャ) | 季節や時節に応じた事業計画・キャンペーン展開。自然との調和を意識した戦略。 |
春(花の盛り) | 成長・再生・開始のタイミング。リフレッシュ・新規事業・採用などの時機を測る。 |
■心得まとめ
「神は秩序の中に現れ、美の中に息づく」
調和ある声、
節度ある時間、
咲き誇る自然、
すべてに神の気配がある。
言葉とタイミングと季節感をもって
人を導き、組織を彩れ。
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