1. 支払手数料で処理する方法
手数料を単独の勘定科目「支払手数料(費用)」で処理します。この方法では、手数料の金額を直接費用として計上します。
仕訳例 ①
条件:
- 売買目的のX社株式10株(帳簿価額: 2,100円)
- 売却価格: 1株あたり 230円(10株 × 230円 = 2,300円)
- 手数料: 80円
- 現金受取額: 2,220円(2,300円 – 80円)
仕訳:
借方: 現金 2,220円
借方: 支払手数料 80円
借方: 有価証券売却損 100円 (帳簿価額 2,100円 - 売却価格 2,000円)
貸方: 売買目的有価証券 2,100円
ポイント:
- 手数料を「支払手数料(費用)」で処理。
- 売却損益は売却価格(2,300円)と帳簿価額(2,100円)の差額。
2. 有価証券売却損益に加減する方法
手数料を有価証券売却損益(費用または収益)に含める方法です。この方法では、売却損益の金額に手数料の影響を反映させます。
仕訳例 ②
条件: 上記と同様
仕訳:
借方: 現金 2,220円
借方: 有価証券売却損 180円 (帳簿価額 2,100円 - 売却価格 2,300円 + 手数料 80円)
貸方: 売買目的有価証券 2,100円
ポイント:
- 手数料を「有価証券売却損益」に含めることで、損益金額が手数料の影響を反映。
- 売却損益を直接調整するため、支払手数料を別途計上しません。
3. まとめ表
処理方法 | 仕訳例の特徴 | ポイント |
---|---|---|
支払手数料で処理する方法 | 手数料を「支払手数料」勘定で独立して計上 | 手数料は費用として単独で表示 |
有価証券売却損益に加減する方法 | 手数料を「有価証券売却損益」に含める | 売却損益に手数料が反映され、純損益が表示される |
4. 選択のポイント
- 財務報告の透明性:
- 手数料を独立して計上したい場合は、「支払手数料」を使用。
- 純損益として包括的に把握したい場合は、「有価証券売却損益」に含める方法が適切。
- 会社の会計方針に従って選択される。
有価証券の売却時の手数料の処理方法
1. 支払手数料で処理する方法
手数料を「支払手数料(費用)」として独立した勘定科目で処理します。この方法では、手数料が売却損益に直接影響を与えません。
仕訳例
条件:
- 売買目的有価証券(X社株式)10株
- 帳簿価額: 2,100円
- 売却価格: 1株あたり 230円(合計 2,300円)
- 手数料: 80円(現金受取額は 2,220円 = 2,300円 – 80円)
仕訳:
借方: 現金 2,220円
借方: 支払手数料 80円
貸方: 売買目的有価証券 2,100円
貸方: 有価証券売却益 200円 (2,300円 - 2,100円)
ポイント:
- 手数料を「支払手数料(費用)」として処理し、損益計算書に独立した費用項目として表示。
2. 有価証券売却損益に加減する方法
手数料を「有価証券売却損益」に含めて処理します。この方法では、手数料が売却損益に直接反映されます。
仕訳例
条件: 上記と同じ
仕訳:
借方: 現金 2,220円
借方: 有価証券売却損 80円
貸方: 売買目的有価証券 2,100円
貸方: 有価証券売却益 140円 (2,300円 - 2,100円 - 80円)
ポイント:
- 手数料を売却損益に含めることで、純粋な売却損益を計上。
3. 2つの方法の比較
処理方法 | 特徴 | 仕訳のポイント |
---|---|---|
支払手数料で処理する方法 | 手数料を独立して計上 | 費用を分けて表示することで明確性がある |
有価証券売却損益に加減する方法 | 売却損益に手数料を含めて純損益を計上 | 損益金額に手数料の影響を反映し、簡潔に表示 |
4. 適用の選択基準
- 支払手数料で処理:
- 手数料の内容を明確に区別したい場合に適用。
- 場合によっては内部管理目的や詳細な費用分類が求められる場合に適切。
- 有価証券売却損益に加減:
- 財務諸表上、純損益として包括的に把握したい場合に適用。
- より簡便な表示が好まれるケースに適している。
どちらの方法も適切な処理方法とされますが、選択は会社の会計方針や報告目的に依存します。
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