MENU

セールスマン訪問状況分析

セールスマンが顧客を訪問する実態を把握している経営者はほとんどいない。多くの場合、営業マンの管理は営業部門の責任者に任せるものだと考えられているようだ。しかし、これほどまでに誤った認識はないと言える。

会社内の「ムダ」の中でも、セールスマンの活用におけるムダほど深刻なものはない。それは他のムダとは比較にならないほど巨大な規模だ。この分析が、その「ムダ」の実態を突きつけることになる。

表の「セールスマン訪問回数」には、営業日報からデータを抽出して記入してもらいたい。一年間分である必要はないが、最低でも二カ月程度の期間は必要となる。

営業日報の訪問記録は、信頼性がそれほど高いものではない。実際に真剣に日報を確認する人は少なく、訪問しても記入しない場合や、訪問していないのに訪問したと記入するケースも珍しくない。ただし、全く役に立たないほど信頼性が低いわけではないし、代わりになるデータも存在しない。したがって、その限界を理解した上で活用するしかない。

表の下部に、総訪問回数と一人あたりの一日当たりの訪問回数を計算して記入し、それを基に現状を検討してほしい。

最初に衝撃を受けるのは、一人あたりの一日当たりの訪問回数の少なさだろう。この数字を見ると、セールスマンがいかに効率的に動いていないかを痛感させられる。次に、個々の得意先への訪問回数を確認すると、社長が想定していた訪問状況との乖離の大きさに驚かされるはずだ。セールスマンというのは、社長が重要だと考える会社にはあまり足を運ばず、逆に、あまり訪問の必要がないとされる会社を頻繁に訪問する傾向があるものだ。

さらに、ABC分析に基づいて「第56表」のようなグループ別訪問回数表を作成してみると、より一層、現状の奇妙な実態が明らかになる。そのデータは、セールスマンの訪問活動がどれほど偏っているか、そして必ずしも効率的とは言えない実態を浮き彫りにすることになるだろう。

現在、売上がほとんどなく、将来的にも売上増が見込めない「Cグループ」に対する訪問回数が、驚くほど多いことがわかる。そして、訪問1回あたりの売上高はあまりにも低く、まともに議論する価値すらないような金額にとどまっている。

さらに、セールスマン一人ひとりの総訪問回数と一日当たりの訪問回数を算出し、それを各自の経験年数と照らし合わせて分析してみる。この作業を通じて、経験年数が多いセールスマンほど訪問効率が低下しているのか、あるいは逆に熟練度によって効率が上がっているのかといった傾向を見出すことができるだろう。そこには、個々のセールスマンの働き方やパフォーマンスに関する重要な手がかりが隠されているはずだ。

分析を深めれば深めるほど、セールスマンの行動には独特で奇妙なパターンがあることが明らかになってくる。しかし、それはセールスマン個人の怠慢や能力の問題ではない。むしろ、明確な営業方針を示さず、適切な指導や管理を怠っている社長自身の責任が大きいと言えるだろう。

社長の市場戦略に基づいた計画的な訪問を実行すれば、セールスマンを実際に3倍や5倍に増やすのと同等の効果を生み出せる可能性があることを理解してほしい。効果的な戦略と指示があれば、限られた人員でも飛躍的な成果を上げることが可能なのだ。

セールスマン訪問状況分析は、営業活動に潜む無駄を発見し、セールスマンの訪問効率を高めるために重要な分析です。具体的な分析方法とその意義を以下に説明します。

1. セールスマンの訪問回数の集計

  • 営業日報の活用: 営業日報を確認し、各セールスマンがどの顧客をどの頻度で訪問しているかを数値化します。信頼度に限界はあるものの、訪問傾向を把握するのに十分です。
  • 分析期間: 最低でも2か月以上のデータが必要で、年間を通じてデータを蓄積できればより正確な傾向が掴めます。

2. 一人当たりの訪問回数と得意先ごとの訪問頻度

  • 一日あたりの訪問回数: 各セールスマンの一日あたり訪問回数を計算し、その少なさに驚かされるケースが多いです。
  • 得意先ごとの訪問回数: 社長が重視すべきと考える顧客が頻繁に訪問されていない一方で、重要度の低い顧客に多くの時間が割かれていることが判明する場合があります。

3. ABC分析によるグループ別訪問回数の確認

  • グループ分類: 売上高の多い得意先を「Aグループ」、中程度の売上を「Bグループ」、少額の得意先を「Cグループ」と分類します。
  • 訪問回数の偏り: 売上貢献が低く、将来の成長見込みも少ないCグループに対して、驚くほど多くの訪問回数が割かれていることがあります。これにより、限られたリソースが効率的に使われていないことが明らかになります。

4. セールスマン個々の訪問頻度と経験年数の関係

  • 総訪問回数と経験年数の関係: セールスマン一人一人の総訪問回数、一日あたりの訪問回数とその経験年数を分析します。これにより、経験が浅いセールスマンが経験豊富な人と同じように効率的に働いているかどうかが確認できます。

5. 市場戦略に基づく訪問計画の実施

  • 戦略的訪問の実施: 社長の市場戦略に基づき、重点的に訪問すべき顧客や回数を明確に指示することで、セールスマンの訪問効率が劇的に向上します。これは、単にセールスマンを増員するのと同等、もしくはそれ以上の効果が期待できます。

分析結果からの改善ポイント

  • リソースの再分配: 重要度の高いAグループ顧客に訪問を集中し、Cグループの訪問頻度を減らすことで、売上効率を上げます。
  • 訪問回数の目標設定: 一人あたりの訪問回数や目標売上高を設定し、定期的に進捗をチェックすることで、日々の活動に対する意識を高めます。
  • 教育と指導: 訪問の重要性や戦略的な優先順位をセールスマンに伝え、明確な方針を示すことで、無駄の少ない営業活動を促進します。

セールスマンの訪問活動を分析し改善することで、効率的かつ戦略的な営業活動が可能になり、売上増加とコスト削減につながります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次