商品別販売戦略の目的は、売上高や粗利益の不足分を補い、目標を達成することです。具体的には、「何を(商品)」「どこに(顧客)」「いくら(数量)」売るかを明確に計画し、実行に移します。
販売計画を商品別販売計画から始める企業は、特に見込型事業形態が多いですが、受注型事業形態の企業でも高収益型のところでは、商品別販売計画を重視しています。なぜなら、会社の運命は扱う商品やサービスによって大きく左右されるからです。
商品が売れれば大きな利益をもたらしますが、売れなければ在庫となり、最悪の場合は経営危機に陥る可能性もあります。そのため、商品別販売戦略は事業成長の柱であり、経営者にとって最優先の課題です。
不足を埋めるための3つの基本戦略
1. 現状商品の既存顧客への拡販
既存顧客が未購入の商品(未採用商品)に注目し、それらを提案・販売します。このアプローチは、新規顧客を開拓するよりも現実的で効率的です。その後、新規顧客の開拓にも取り組みます。
2. 新商品の導入
新たな商品を仕入れる、または自社で生産し、既存市場に投入します。これにより、新規顧客や新しい販売ルートを開拓し、売上や粗利益を増やすことが可能です。
3. 価格戦略の活用
価格設定に自由度がある見込型事業では、価格戦略を駆使して収益を拡大します。以下の価格戦略を検討できます:
- 高価格戦略: 独自性や差別化を武器に価格を高めに設定。
- 低価格戦略: 大量生産や大量販売が可能な場合に適用。
- 普及価格戦略: 新商品や改良商品の市場投入時に価格帯を模索。
- 競争価格戦略: ライバルより安価で仕入れ・製造することで競争力を確保。
商品構成が多岐にわたる場合の対応
粗利益率が商品によって大きく異なる企業(業態業)では、商品群別販売計画を先に作成し、その後に各商品群ごとの商品別販売計画を立案する方法が有効です。この2段階アプローチにより、計画が詳細かつ現実的になります。
例として、自動車修理工場を挙げると、修理事業や車検代行、自動車販売、不動産貸し付けなど、異なる粗利益率の事業を複数展開している場合があります。このような場合は、商品群ごとに計画を立てることで、全体の計画精度を高めることが可能です。
商品別販売計画の月別展開
商品別販売計画をさらに月別に分解することで、具体的な販売活動がしやすくなります。このプロセスは、月別利益計画の作成手順と同様です。
特に季節変動がある場合は、その影響を反映させることが重要です。
月別計画と利益計画は連動させる必要があり、計画の合計値が一致していることを確認してください。
まとめ
商品別販売戦略は、売上と利益の目標達成を支える重要な要素です。以下の手順を実践し、戦略を緻密に構築してください。
- 現状商品の既存顧客への拡販を優先。
- 新商品を導入し、新たな市場と顧客層を開拓。
- 適切な価格戦略を選択し、利益を最大化。
- 商品群ごとの販売計画を段階的に策定。
- 月別に計画を展開し、季節変動を考慮。
これらのアプローチを組み合わせ、持続可能な成長を目指しましょう。
不足する売上高・粗利益をいかに獲得するかが、商品別販売戦略です。具体的には、何を(商品)、どこに(お客様)、いくら(数量)売るか、を考えるということです。
前述したように、販売計画を商品別販売計画から入る業種・業態は、主に見込事業形態の会社が、ほとんどです。受注事業形態でも高収益型企業は商品別販売計画から作成しています。
商品・サービスが会社の興亡を握っているからです。
極端に申せば、売れれば爆発的に収益をもたらしますし、売れなければ在庫として残り、倒産してしまいます。
基本的な戦略は、見込事業の戦略を再読してください。
ここでは、3つの方法を繰り返しお伝えします。
方法1現状商品で、既存のお客様に拡販する
古田土会計の商品のうち、既存のお客様にお買い上げいただいていない商品を売ります(未採用商品といいます)。新規お客様を、探すよりもこの方法の方が現実的だからです。そして次に、新規お客様開拓です。
方法2新商品を仕入れるか、新商品を自社生産して現市場で売る
あらためて説明するまでもなく、新商品で新しいお客様・販売ルートもできます。
成長拡大の要素であるお客様の数を増やす、売価・粗利益の高い商品を売ることになります。
方法3価格戦略で収益を増大する
見込事業は、原則的に価格決定が可能ですので、価格決定の戦略を考えます。
1高価格戦略(ライバル商品と独自性で差別化する。供給制限で価格を高く設定する)
2低価格戦略(「大量生産」「大量仕入」「大量販売」が可能である場合に限る。主に大企業か家族労働型の零細企業)
3普及価格戦略(新商品・改良商品など、市場に売り出されていない商品には、価格相場がない。普及させながら価格帯を探っていく。期間や地域を限定して売り出すなどの方法を取る)
4競争価格戦略(ライバルを叩くための価格戦略。ライバルより安く仕入れる・つくれることが条件。損益分岐点の外で戦うこと)
■商品構成が多岐にわたる会社の場合
粗利益率が大幅に違う商品構成を持つ会社が、時としてあります。
例えば自動車修理工場会社は、それに当てはまります。多くの自動車修理工場は、本業の修理事業・車検代行の他に、自動車販売も手掛けています。
また、土地など不動産を所有している場合は貸し駐車場で賃貸収入などがあります。こういう会社を「業態業」といいます。
粗利益率が、商品構成で極端に違うのです。
この場合は、最初に商品群別販売計画を作成後、それぞれの商品群ごとに商品別販売計画を作成してください。2段階でつくることを、おすすめいたします。
■商品別販売計画を月別に展開する
つくり方の手順は、月別利益計画の要領と同じです。季節変動がある会社は注意してください。月別利益計画と連動しますので、合計欄は同じでなければなりません。
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