商品販売における売上の計上タイミングは、契約内容や商慣行、商品の移転時点によって異なります。一般的な基準は以下の通りです。
1. 基本的な売上計上基準
基準 | 特徴 | 適用状況 |
---|---|---|
出荷基準 | 商品を出荷したときに売上を計上する。 | 【容認】通常の期間内に検収が完了する場合に適用可能。 |
着荷基準 | 商品が顧客に到着したときに売上を計上する。 | 【容認】顧客が到着時に品質確認を行う場合に適用可能。 |
検収基準 | 顧客が商品の品質や数量を確認し、検収通知を行ったときに売上を計上する。 | 【原則】取引の確実性が重要視される場合に適用。 |
2. 売上計上の具体例
(1) 出荷基準
- 商品を出荷した時点で、企業は履行義務を果たしたとみなし売上を計上します。
- 例:
- A社がB社に対して商品を10,000円で販売し、出荷日に売上計上する場合。
仕訳:
借方: 売掛金 10,000円
貸方: 売上(収益) 10,000円
(2) 着荷基準
- 商品が顧客に到着した時点で、売上を計上します。
- 例:
- A社がB社に商品を販売し、商品が到着した際に売上計上する場合。
仕訳:
借方: 売掛金 10,000円
貸方: 売上(収益) 10,000円
(3) 検収基準
- 商品の品質や数量について顧客の検収が完了し、確認通知を受けた時点で売上を計上します。
- 例:
- A社がB社に商品を販売し、検収通知を受けた際に売上計上する場合。
仕訳:
借方: 売掛金 10,000円
貸方: 売上(収益) 10,000円
3. 基準選択の判断要素
- 契約内容:
- 契約で売上計上のタイミングが明示されている場合は、それに従います。
- 商慣行:
- 業界標準や商慣行に基づいて適用基準を選択。
- リスク移転のタイミング:
- リスク(品質、数量、所有権など)が顧客に移転した時点で収益を認識。
- 期間の妥当性:
- 出荷から検収までの期間が短期間である場合、出荷基準や着荷基準も容認される。
4. 注意点
- 原則は検収基準:
- より確実性を求める場合は、検収基準が推奨されます。
- 基準の一貫性:
- 選択した基準は、同様の取引に対して一貫して適用する必要があります。
- 収益認識基準との整合性:
- 顧客に対する履行義務が果たされた時点を明確にし、基準を適用。
5. まとめ
基準 | 売上計上のタイミング | 適用のポイント |
---|---|---|
出荷基準 | 出荷時 | 通常の期間内に検収が完了する場合に適用。 |
着荷基準 | 商品到着時 | 顧客が到着時に品質確認を行う場合に適用。 |
検収基準 | 検収通知を受けた時点 | 収益の確実性を重視する取引に適用。 |
企業は、取引の性質やリスク移転のタイミングに応じて、適切な基準を選択することが重要です。
コメント